マーケティングとセールスの違い3
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
さて、マーケティングとセールスの違いについての続きです。
もうお腹いっぱいかもしれませんが、昨日に引き続き、レビット博士の言葉を引用したいと思います。
(なお、引用文中の強調、下線は引用者が追加したものです)
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従来の「売ってさよなら」というやり方は、もはや十分とはいえない。図表「セリングからマーケティングへ」に示したように、新旧の手法には実に大きな開きがある。
セリング(営業・販売)では、売り手は買い手から距離を置いたまま、営業部門を通して購買を働きかける。このような売り方が基本であったため、「営業担当者にはカリスマ性が欠かせない。成約の決め手は、品質よりも売り手のカリスマ性なのだから」という考え方が生まれた。
一方マーケティングでは、売り手は取引先の近くにおり、そのニーズやウォンツ、不安などを探ろうとして、さらなる接近を試みる。そして、それらの情報を念頭に置きながら製品を設計し提供する。
既存の製品を売ろうとするよりも、買い手の求める製品をつくろうとするのだ。製品はもはや単体では大きな意味を持たず、さまざまな価値を付加して買い手に満足をもたらす必要がある。また、売り手と買い手が相互依存を深めているため、取引関係において両者の長期的なリレーションシップが大きな役割を果たすようになってきている。
重要なのは、顧客を見つけてつなぎ止めておくよりも、むしろ望みどおりの価値をもたらすことだろう。買い手の側でも売り手に対して、常に約束を守り、製品やサービスをたゆみなく提供してくれるよう期待している。「かりそめの恋」はもはや主流ではなく、「結婚」が必要とされているばかりか、実際的でもあるのだ。
製品はあまりに複雑に絡み合い、売買のつど条件を交渉したのでは、気が遠くなるほどの労力とコストを要する。このような状況では、効果的なマーケティングは揺るぎないリレーションシップにつながる。顧客とその時々で接点を持つのではなく、継続的な関係を築いていく。こうなるともはや、従来の意味で優れたマーケターであっても、それだけでは十分に使命を果たしているとはいえない。
売り手と買い手が緊密に協力を続け、化学工場や通信システムを稼働させるまでに五年の歳月を費やすといったケースでは、受注を獲得するのは遠大なプロセスの第一歩にすぎず、はるかに大きなマーケティング努力が求められる。買い手にすれば、契約がすべて履行されるまで、長い期間にわたって売り手とうまく力を合わせながら仕事を進められるかどうか、初めに確証を得ておきたいだろう。
両当事者は、資本構成、競争環境、コスト構造、取引の動機などが異なる。かたや製品やサービスを売って利益を上げようとし、かたやツールを購入して製品をつくり、そこから利益を得ようとしている。売り手が目的を達した時点で、買い手はようやく目的に向けて走り始めるのだが、それでも両者は深い依存関係からは逃れられない。
相互依存関係は異なる動機のうえに成り立っており、これを円滑に維持するには、売り手はリレーションシップの本質を理解し、結婚に踏み切る前にマネジメント・プランを立てておかなければならない。同床異夢が表面化してから対策マニュアルを持ち出しても遅いのだ。
セオドア・レビット『売り手に欠かせぬ買い手との関係強化』
(1983年ハーバード・ビジネス・レビューより)
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マーケティングとセールスの違いについて、あなたなりの答えは見えてきたでしょうか?
次回でまとめます。