消費税率引き上げとウォーターベッド効果

今日は、「ウォーターベッド効果」という、聞きなれない単語をご紹介したいと思います。
この単語の定義はさておき、効果の内容をきちんと押さえておかないと、消費税率引き上げによって、あなたのビジネス、または、あなたのビジネスの取引先・クライアントが致命的なダメージを負うことになります。

最近は、中小零細企業の社長向け、個人事業主向けのプロモーションは、どこに行っても、消費増税にどう備えるか? 税制改正のポイントは? といった内容ばかりです。
そして、語られる内容やニュースになるのは、“どこどこの大企業ではこう対応する”といった役に立たない事例ばかりです。
(中小零細企業の社長や、個人事業主が知りたいのは、大手の対策ではなくて、自分たちがどうするかの対策ですよね)

さて、あなたのビジネスでは、消費税分は値上げしますか? それとも据え置きしますか
? 部分的に? 段階的に? いろいろオペレーションはありますが、ことスモールビジネスにおいては「うーん、取引先がYesといわないから据え置きかな」と、本意ではないにしても、考えていたとしたら、極めて危険です。

ここでご紹介したいのが、ウォーターベッド効果という用語です。

まずは、正しい言葉の定義として、公益社団法人日本マーケティング協会(JMA)が管理・監修するマーケティングWikiによれば・・・

----- 引用ここから ------------------------------
ウォーターベッド効果とは、市場優位性のある買手企業が、強いバイイングパワーにより、メーカーや卸売業者などのサプライヤーから商品を安値で仕入れることが可能となる一方で、サプライヤーが低価格納入による損失分を補うために、小規模一般小売業者に対して納入価格を引き上げ、仕入れコストを上昇させるという二重効果のこと。
規模の経済効果による影響のひとつであり、日本の小売市場の寡占化に伴う優越的地位の濫用が懸念されていることを受けて、研究が進められている。
Waterbed Effect。
マーケティングWikiより
----- 引用ここまで ------------------------------
ということです。

ちょっと分かり難いので、噛み砕いてご説明すると、「弱いものイジメをすると、強者は二重に得をし、弱者は二重に苦しむ」ということです。

例えば、家電の小売の例でみてみましょう。

小さな町の家電店Aの競合は、大手家電量販店のB社です。
A店もB社も、同じ家電メーカー問屋C社から商品の仕入れを行っています。

原材料費や輸送費の値上げに伴い、問屋C社は、大手B社に仕入れ額のアップを打診します。しかし力関係で強いB社は、それを拒否します。

C社「4月からの仕入れについては、値上げさせてください」
B社「ダメダメ。これまでと同じ額で持ってきて。嫌ならお宅からは仕入れないよ」
というわけです。

C社は渋々、大手B社の言いなりになり、コスト増を自社で引き受けます。
もちろん、C社はC社で、そのコストをどうにか緩和する努力をします。

今度は、C社は、家電店A店に仕入れ額のアップを打診します。今度は譲れません。
力関係に任せて、押し切ります。

C社「4月からの仕入れについては、値上げします」
A店「困りますよ。なんとかなりませんか?」
C社「なんともなりません。嫌なら他から仕入れてくれて結構」

よくある話だと思います。

そして、結果としてA店と、B社の関係はどのように変わったでしょうか?

B社は、C社に圧力をかけることで、仕入れコストを相対的にダウンできる、という一次効果があり、さらに、A店の仕入れコストを上昇させる、という二次効果が得られるわけです。

ウォーターベッドのように、片方が押し下げられれば、片方が押し上がる、わけです。

大手B社 → 値下げ圧力 → 問屋C店
              ↓
町のA店 ← 値上げ圧力 ← 問屋C店

A店からしたら、たまったものではありません。競合が仕入れコストをダウンさせるなか、自分の仕入れコストがアップします。
そして、大手B社は、「消費者へ還元、 わたしたちは値上げしません!」といってセールを展開します。
A店がB社に対抗しようとすると、仕入れ値上昇、販売価格下落で、ただでさえ少ない利益が圧迫されます。下手すれば売れば売るほど赤字です。
大手B社はじわじわ優位に立ち、町のA店はじわじわ首が締まります。

なんとなく、ウォーターベッド効果については、ご理解いただけたでしょうか?

さて、最初に戻ります。

消費税率が8%に引き上げでられます。
この上昇する3%を巡って、ウォーターベッド効果が極めて発生しやすくなります。

続きます。

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