消費税率引き上げとウォーターベッド効果2
昨日は、「ウォーターベッド効果」について、ご紹介しました。
なぜ、いま、ウォーターベッド効果かというと、消費税引き上げのプラス3%を巡って、ウォーターベッド効果が生まれるからです。
本日はその続きです。
さて、そもそも消費税とは、どんな仕組みなのでしょうか?
私は税制の専門家ではないので、いい加減なことを書くとまずいので、ちゃんと引用しますと、
中小企業庁発行 中小企業・小規模事業者のための消費税の手引き
によれば、
----- 引用ここから ------------------------------
消費税ってどんな税金?
消費税は、商品を購入したり、サービスの提供を受けたりした場合に、その取引に対して課税される税金です。
消費税は、事業者に負担を求めるものではありません。消費税は、取引の各段階で商品やサービスの価格に転嫁(上乗せ)されることで、最終的には、商品を消費したり、サービスの提供を受けたりする消費者が負担します。
中小企業・小規模事業者のための消費税の手引きより
----- 引用ここまで ------------------------------
ということです。
簡単にいうと、消費者が納めるべき税金を、事業者が売れたタイミングで預かって、代わりに納税する、という仕組みです。
本来は、消費税率が5%だろうと、8%だろうと、10%だろうと、事業者の利益にはなんの関係もありません。
本来は、そうなのですが、最終消費者からすると、支払う金額が増えるわけですから、買い控えなどが、当然起こります。
このため、最終的な値段を据え置くとか、部分的に値上げするとか、段階的に値上げするとか、各企業が工夫を練るわけです。
価格を据え置く場合、どうなるのでしょうか?
例えば、あなたが小売業を営んでいると仮定して、
販売単価1,000円(税抜き)の商品を扱っているとしましょう。
税込価格は、1,050円です。
ここで消費税が8%になって、税込価格を据え置いた場合は、
税込価格は、同じく、1,050円です。
ですが、税抜き状態でみると、
販売単価972.22円+消費税77.78円となっています。
差額の27.78円分、売上総利益率(=粗利)が減少します。
たった、27.78円だと思ったかたは、ちょっと待ってください。
少し古いですが、経済産業省のデータでは、小売業の売上総利益率は中小企業で平均29.1%です。
つまり、
1,000円(販売単価)
-709円(仕入れ原価)
=291円(粗利)
ということです。
営業利益を出すためには、ここからさらに、販売費及び一般管理費が引かれます。
業界平均販管費率ランキングというデータによれば、小売業の販管費率は27%です。
つまり、
1,000円(販売単価)
-709円(仕入れ原価)
=291円(粗利)
――――――――――――――
291円(粗利)
-270円(販管費)
=21円(営業利益)
です。
はい。さきほどの例では、粗利で27.78円が減る計算でした。
念のため計算式にしますと、さきほどの例で税込価格を据え置いた場合・・・
972円(販売単価)
-709円(仕入れ原価)
=263円(粗利)
――――――――――――――
263円(粗利)
-270円(販管費)
=▲7円(営業利益)
といった具合で、営業利益ベースで赤字に転落します。
つまり、何の策もなく、税込価格を据え置くことは、上記のようなことを招くということです。
なので、コスト削減等ができないのであれば、消費税転嫁(つまり、8%分もらうこと)は絶対に必要です。
長くなりますので、一旦切って、明日へ続きます。