「売り難さ」を解消するカギ4

今日も、引き続きレビット博士から学びたいと思います。
とくにBtoBでビジネスの場合は、今日のテーマに気が回らなくて
契約を逃しているケースは多いと思います。

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購入後のことも想像しチェックする

投資銀行の場合も、ボイラーの場合も、買い手から指名を受けるためには、販売の過程でいくつかの関門を上手にくぐり抜けなければならない。これは求愛行動に似ていなくもない。どちらの場合の「顧客」も求愛の仕方がぐらついていると、将来のことが案じられる。求愛期間中に男のほうが十分な誠意と積極性を見せなければ、たとえば彼女の示す欲求やムードにさっぱり手応えが感じられないだろう。彼女が緊張したり、がっかりしたりしている時、薄情な態度を見せたり動揺したりすれば、結婚後も大きな問題を抱えることになる。
現実の結婚とは違って、投資銀行との契約やボイラーの設置に離婚の余地はなく、取引してしまえば、ただちに結婚生活と妊娠が同時に始まる。
~中略~
見込み客は、求愛期間と同じように、熱心に愛を語る男性が将来どんな夫となり、どんな父親になるのかを判定するために、企業の一挙手一投足まで入念に見守るのである。

製品がどのようにパッケージされているか(約束が、どのようなパンフレット、文書、設計図で表現されているか)、だれがどんな語り口で製品を売り込むのか-これらはすべて製品の中心的要素である。というのは、顧客が最終的に買うか買わないかを決める際の判断材料だからだ。

製品には形以上の要素が存在する。一億ドルもするボイラー・システムでもそうだ。買い手の立場からすると、製品は一つの約束であり、その無形要素は有形の部分と同じく大切なのである。顧客が製品を買う前に、一定の条件で顧客に満足を与えなければならない。もしそれがかなわなければ、販売は成立しない。売り手と買い手の関係が確定しない段階(求愛中)に、営業担当者が顧客の特殊な立場や課題に対してトンチンカンな返答をしたり、まったく無知であったりしたら、投資銀行の場合も、ボイラー・メーカーの場合も、販売は成立しないだろう。

この場合、約束―製品の全体―は見込み客を満足させることができなかったのだ。製品に欠けるところがあったのではなく、むしろ約束の中身が的外れだったのである。交渉の途中でセールスマンを代えたところで、何の役にも立たない。売り手は企業として、それまでに「自社の製品」について誤ったことを「言ってしまっている」からである。求愛中に、見込み客が購入後を心配した場合-つまり契約の履行、納期の厳守、アフターサービスに不安がある、という印象を持ったとしたらならば、納入される製品には「欠陥品」というメッセージが与えられたことにほかならない。

セオドア・レビット『無形性のマーケティング』
(1981年ハーバード・ビジネス・レビューより)

----- 引用ここまで ------------------------------

商品・サービスをよくするだけでは売れない理由のひとつの答えですね。

売り手は、おカネを払ってもらうことを考えますが、
買い手は、おカネを払った後のことを考えています。
自分が、買い手の立場ならば、よく理解できると思います。
しかし、売り手の立場では、なかなか見えないものです。

どうやったら、見込み客に「このひとこそが運命のひと」と
思ってもらえるのでしょうか?

いま抱える仕事(業務)をまる一日、全部ストップしてでも
考える価値のある問いだと思います。

続きます。

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