「売り難さ」を解消するカギ5

今日は、サービス業の方向けです。
とくに「先生」業の方は、参考になるのではないでしょうか。

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無形財だけに起こる難問

一言で言うと、取引を成立させること-顧客を獲得することは大変なことだ。一方、顧客を維持することは、まったく別の問題である。これを成功させるには、無形性が多い製品の場合、別の難しさがある。

というのは、無形財は生産と納入の方法が、極度に人間に依存しているからである。銀行の企業財務に関するサービスは、この点で美容サービスやコンサルティングとあまり変わらない。製品が人間の力に依存するものであればあるほど、個人の裁量や性格の違いが表面化し、ミスや遅延が発生する可能性が増す。無形財の場合、顧客がだまされたと感じてしまったら、期待価値が十分満たされなかったことである。この顧客は二度と近づいてはくれない。リピート・オーダーは望むべくもない。

~中略~

無形財の場合はそうはいかない。コンピュータ・ソフトのプログラミングについて考えてみよう。プログラマーは、顧客企業に関する調査を実施して、各部門間の複雑な業務ネットワークやその関連性を理解しようとする。そのうえで、同じプログラマーがシステムとソフトウェアを一人で設計する。この場合、設計の仕事が製造の仕事でもある。無形財の設計と製造は普通、同一人物が担当する。その姿は仕事場に座って働く職人のようだ。

さらに無形財の場合、製造と納品とが区別できないことが多い。コンサルティング・サービスの場合、納品はクライアントの立場からすれば製造である。コンサルタントの分析が優れていても、その納品がお粗末だったら、コンサルタントのアドバイスは製造方法がまずいと受け取られる。結局それは不良品なのだ。

ブローカー、研修トレーナー、監査法人、エンジニアリング会社、建築家、弁護士、運送会社、病院や診療所、行政機関、銀行、信託会社、投信会社、レンタカー会社、保険会社、修理会社などの仕事はみな同様である。どれも納品と製造の区別がつかない。有形財と無形財の違いを、コーネル大学のJ・M・ラズウェル教授がみごとに指摘している。「製品は生産される、サービスは実行される」

セオドア・レビット『無形性のマーケティング』
(1981年ハーバード・ビジネス・レビューより)

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ちょっと分かり難いですね。

たとえば、家電に例えてみましょう。
あなたが、家電量販店で掃除機を買ったとします。
仮に、家電量販店の店員が悪印象を与えたとしても、
掃除機そのもの(製品)の品質が悪いとは思いません。

対して、歯科医の場合。
とても腕が良くて、所見や治療が完璧な歯科医がいたとします。
しかし、マシンのように無機質に淡々と治療をしていると、
患者は恐怖を感じ、再来院させるのは難しいでしょう。

歯科医の場合、サービスを提供することと、
医師に会うことは同じことですので、
「会いたくない」と思われたらオシマイなわけです。

「あなたから、買いたい」と思ってもらえるか。
「あいつからは、買わない」と思われるか。
どちらがよいかは、聞くまでもないと思います。

続きます。

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