「売り難さ」を解消するカギ8

昨日は、顧客は満足している時、すなわち首尾よく事が進んでいる時ではなく、不満のある時、すなわち失態が生じた時しか、サービスを意識しないからだ、ということでした。それでは、どうするのか?
本日は、サービス業が顧客を失う理由への対策です。

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無形財の存在を訴え続け、顧客の認知を促す

無形財において顧客を獲得する際、有形な代理物または比喩をつくることが大切である。服装をどうするか。提案を口でどう伝え、文章でどう表現し、どう設計し、どう提出するか。見込み客にどう接し、質問にどう答え、どんなアイデアを提供するか。見込み客の事業をどれだけ深く理解しているかを、どのような態度で示すか。これらを考えてみるとよい。

無形財において顧客を維持する際、顧客が日頃得てきているサービスを、一定期間ごとに思い起こさせ、知らせることが大切である。こうしておけば、たまたままずいことが起こっても、決定的な不満に至らずに済む。こうした手を打たないと、顧客は自分の受けているサービスに気付かない。自分が購入したサービスが途切れた時にのみ、その存在を知り、その時だけですべてを判定してしまう。

無形財は定期的に納入され、消費されるが、顧客を失わないためには、同様に顧客に提供しているサービスを常に振り返る必要がある。そして、顧客を獲得した時の約束を、そのつど繰り返さなければならない。だから、保険の見込み客がついに「結婚」させられた後、「一件落着」とそれ以後は口もきかず、無視してしまうのは、保険会社にとって自殺行為だ。ほとんどの顧客は、購入した生命保険契約についていつまでも覚えていることはなく、保険会社や代理店の名と同じように忘れてしまっている。一年後に保険料払込通知を受けて思い出し、求愛期間中の愛の行動と結婚後の冷めた現実との差異を、まざまざと見せつけられることが多いのである。

売り手と買い手のリレーションシップが強固になれば、売り手は資産を生み出したことになる。ようやく顧客を手に入れたのだ。この顧客をいつまでも失わないようにするには、売り手は、せっかく手に入れた資産の価値が下がったり、ライバルから狙われたりしないように、顧客リレーションシップという資産の価値を上げる手段を常に行使しなければならない。

強化策はいくらでもある。そのいくつかは体系化し、工業化することが可能だ。サービスの現状を顧客に思い起こさせる手紙や電話を定期的に送ることはコストもかからず、驚くほど効果的な資産価値強化策となる。「これまで以上の内容が新たに付加されました」というニュース・レターを送ったり、訪問して話したりすることは有効である。ビジネスを離れた交際も大切だ-狩猟用のロッジ、ヨット、クラブ、夫婦同伴の会議、顧客ミーティングの費用は税控除にすべきだ、と内国歳入庁(IRS)と争う会社が最近増えているのを見ても、よくわかる。

~中略~

こうしたやり方で、無形財の売り手は、顧客の心のなかに、自社の存在とサービスの中身を常に新しく意識させる。いつも後ろにいて、変わらぬサービスを黙々と提供しているのだということを顧客に思い出させている。

セオドア・レビット『無形性のマーケティング』
(1981年ハーバード・ビジネス・レビューより)

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あえて解説を加えない方が、よいように思えるので、
レビット博士の言葉をそのまま接種なさってください。
答えもずばり書いてありますし。

このシリーズは明日完結予定です。

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