新規開拓の壁の正体とその対策

昨日の記事で、集客についてちょっとやる気になった方へ、
今日は実践的なアドバイスです。

フィリップ・コトラーという、現代マーケティングの父と称される人物がいます。
そのコトラーが提唱する「顧客知覚価値」という考え方をご紹介します。

どういうことか、簡単に説明します。

ひとが何かを買うときに、

得られるメリットの総量と、支払うコストの総量とを比べます。
そして、メリットの方が大きいと感じれば、顧客は購買します。
さらに、このメリットが大きければ大きいほど、満足度も高くなります。

ということです。

まあ、当たり前といえば、当たり前ですね。

ですが、肝心なのはここからです。

数式にします。

顧客知覚価値=総顧客ベネフィット-総顧客コスト

総顧客ベネフィットとは・・・

・製品ベネフィット(製品そのものの価値:機能・信頼性・希少性など)
・サービスベネフィット(製品に付随したサービスの価値:保守・メンテナンスなど)
・従業員ベネフィット(従業員の応対やパーソナリティによる価値:対応態度など)
・イメージベネフィット(企業イメージ・ブランドイメージなどによる価値)

を全部足したもの。

総顧客コストとは・・・

・金銭的コスト(製品価格・維持費・配送費など)
・時間的コスト(納品までの時間、交渉に要する時間、使用法の理解に要する時間)
・労力コスト(商品探索や購入時の手続き、店舗から自宅に持ち帰る労力)
・心理的コスト(初回購入時の不安・購入時のストレスなど)

を全部足したもの。

どういうことか、図示します。
ちょっと見え難かったがごめんなさい。
天秤に乗っているイメージです。

<総顧客ベネフィット>      <総顧客コスト>
製品ベネフィット          金銭的コスト
サービスベネフィット        時間的コスト
従業員ベネフィット         労力コスト
イメージベネフィット        心理的コスト
――――――――――       ――――――――――
    |                |
    ――――――――――――――――――  

この天秤の傾きが、顧客知覚価値です。

で、左側の総顧客ベネフィットの方が重くなるように、
(つまり、顧客知覚価値が、よりプラスになるように)
いろいろと工夫をするわけです。

一般的に、
製品自体の品質をあげれば、製品ベネフィットが大きくなり、
左側が重くなり、顧客知覚価値のアップに繋がります。

また、値下げをすれば、金銭的コストが小さくなり、
右側が軽くなり、顧客知覚価値のアップに繋がります。

ここまでは、よろしいでしょうか?

では、新規のときは?

たとえば床屋(美容院・理容院)。
はじめて入るお店って、なんだか怖いですよね。

飲食店でもそうです。
どんなお店でも、最初は誰でもある程度の恐怖を覚えます。

でも、2回目になると、
どのくらいの価値を与えてくれるかの基準ができるので、
新しい注文などのちょっとした冒険もしやすくなります。

つまり、新規顧客獲得には、
心理的コスト(初回購入時の不安・購入時のストレスなど)
が重くのしかかる。

ひとは体験したことのないことへ一番恐怖を感じるので、
この心理的コストは、単体として総顧客メリットよりも
大きくなることもあります。

新規顧客が難しいのは、そのままズバリ、
この「心理的コスト」の不利を考慮しないで、
新規顧客も既存顧客も同等に扱うからです。

「心理的コスト」の不利を覆すためには、
総顧客ベネフィットを大きくするか。
総顧客コストを小さくするか。
どちらか、もしくは両方を行う必要があります。

よく行われている例を挙げますと・・・

・新規顧客に対してオマケや特典をつける。
→製品ベネフィットのアップ

・はじめての方は大幅値引き
→金銭的コストのダウン

どちらも、
「心理的コスト」の不利を補うために、
総顧客ベネフィットを大きくするか、
総顧客コストを小さくするか、
を、していることがわかります。

そして、「顧客知覚価値天秤」に関係するのは、
「製品と価格だけではない」ということです。
(ここ、とても重要です)

あなたは、どの方法と、どの方法と、どの方法とを使って、
顧客知覚価値をあげることができるでしょうか?

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