購買意欲調査の専門家たちを襲う不安

購買意欲調査に関する論文が続きます。

ただ、ここに出ている課題については、答えが出ていると思いますね。

―― 引用ここから ―――――――――

『購買意欲調査の専門家たちを襲う不安』

提案が経営陣に了承され、実現に向けて多大な予算が下りると、購買意欲調査の担当者は、無理もないことだが、失敗を恐れ始める。医師が難しい症例について同僚に意見を求めてから診断を下すのを常とするなら、それと同じように、購買意欲調査の専門家も仲間に相談する。相談がどのようなかたちで行われるか、傍からはわからないし、関係者にとってすら不透明である。その理由を推測してみよう。

購買意欲調査は比較的新しい分野なので、競合関係にある調査会社や専門家同士ですら、強い人脈で結ばれている。

~中略~

こうした長年に及ぶ緊密な人脈を通して、課題、論点、アイデア、実務、理論などについての合意が形成される。もちろん、どのような場合にも意見の相違はつきものだが、必ずそれを乗り越えて、幅広い合意が形成されるのも事実である。ただしこの合意は、化学的な検証から生まれるのではなく、それらの欠如からもたらされる。仮に購買意欲調査の専門家たちの手法を自分に当てはめると、みな同じような意見に落ち着くのは、失敗を避けようとして無意識のうちに守りに入るからだ、と結論づけたくなるかもしれない。あるいは、ごまかし、能力不足、的外れな主張、未熟さ、うぬぼれ、愚かしさなどに批判の矛先が向くのを避けようとしているからだ、と。

意見が似てしまうのは、意図してそうなったわけでも、悪意によるものでもない。むしろ、ひたむきに真実を突き止めようとした結果である。どの科学分野においても、このようなひたむきさは通説を生み出してきたが、やがてそれが誤りだと判明し、いまではあまりにもお粗末だったと冷笑されている。購買意欲調査は日和見的な勢力と懸命に戦ってきた。時として内輪での対立が起きたとしても、実務家たちが強い絆で結ばれているのは当然だろう。
ただし、購買意欲調査は、ほかの多くの分野とは異なる状況に置かれている。というのも、主張を証明する手立てがあまりに乏しいほか、妥当な統計手法を用いて検証しようとの意識も希薄なようなのだ。

セオドア・レビット『購買意欲調査をめぐる狂想曲』
(1960年ハーバード・ビジネス・レビューより)

―― 引用ここまで ―――――――――

ではまた。

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