差別化できない理由7(補足)

引き続き、独自資源について。

独自資源は、
容易に真似できない、真似しようとしても時間がかかる、
というものは、十分OKということを書きました。

ある実在する、おそば屋さんの例をご紹介したいと思います。
(読み易くするため、以下この文中は、“そば”を“ソバ”とカタカナ表記します)
そのソバ屋は、立地も悪く、値段も安くはないのですが、
ソバ畑に囲まれているソバ屋でした。
原材料から自前です、のアピールです。

独自資源は、自店舗のまわりでソバを栽培している、
ということになります。
この独自資源が、有無をいわさず「美味そう」という
強み・差別化を支えています。

さて、では競合は、このソバ畑に囲まれて・・を、
真似できるでしょうか?

長期的にみれば、真似できます。
自店舗の周りの土地を買い取って、ソバを植えればよいのです。

短期的にみても、真似できます。
ソバ畑の方を買い取って、その中に店を出せばよいのです。

ただし、そんなことをして、ソバまで栽培する手間暇を
かけるくらいならば、個人経営レベルのソバ屋ならば、
ソバを原材料として仕入れる方が、まともな判断となります。

つまり、ソバ畑に囲まれるという独自資源は、
競合が真似したくない=真似され辛い独自資源だ、
ということになります。

なんとなく、掴めてきたでしょうか?

自社に独自資源が、なかなか見つからないという方は、
マッキンゼーの7Sなどのフレームワークを利用して
発想してみるとよいと思います。

マッキンゼーの7sについて、グロービス・マネジメント・スクールのMBA用語集から引用しますと・・・

―― 引用ここから ―――――――――

7Sとは、企業戦略における、幾つかの要素の相互関係をあらわしたもの。
優れた企業では、各要素がお互いを補い、強め合いながら戦略の実行に向かっているとされる。
世界有数の戦略コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)が提唱した。

7Sは、ソフトの4Sとハードの3Sに分かれる。

ソフトの4S
①Shared value (共通の価値観・理念)
②Style(経営スタイル・社風)
③Staff(人材)
④Skill(スキル・能力)

ハードの3S
⑤Strategy(戦略)
⑥Structure(組織構造)
⑦System(システム・制度)

このうち、ソフトの4つは、価値観が絡む要素であるだけに慣性が働き、強制的にまたは短時間に変更することは難しいとされる部分である。

一方、ハードの3つは、変えようとする意思やプランがあれば、変更することが可能である。
手をつけやすいという理由から、結果として、ハードをしっかり設計し、運用すればうまくいくと考えがちであるが(企業変革を行う場合にもハードのみに手が入れられる場合が多い)、重要なことは、ハードとソフトが融合し、なおかつ整合しているということである。

例えば、戦略を変更しても、従業員を全て入れかえることはできない、または、その戦略に必要なスキルがすぐに身につくわけでないといいったことを全て考慮した上で戦略を実行していくことが重要である。

―― 引用ここまで ―――――――――

もうひとつ、理解を深めるために、Wikipediaからも引用します。

―― 引用ここから ―――――――――

マッキンゼーの7S(McKinsey 7S framework)とは、組織を考える上で必要な7つの要素(経営資源)である。
マッキンゼー・アンド・カンパニーが開発した。
ハードのSとソフトのSに分類される。

■ハードのS
経営者が比較的短期間に変更可能でコントロールしやすいもの

○組織構造 (Structure)
企業がどのように組織化されているか。
たとえば、組織階層と上司部下の関係はどうなっているか、次組織が職能別か、事業部制になっているかなど。

○システム (System)
管理システムや情報システムなどの仕組み、管理手続きがどうなっているか。
たとえば給与制度、インセンティブ制度、業績評価システム、資源配分システム、経営管理システムなど

○戦略 (Strategy)
競争優位の源泉は何か、戦略の優先課題は何か、どの分野にどのように経営資源を配分するかなどの戦略。

■ソフトのS
その会社で働く人々によって決まるものであり、通常、簡単には変更できずコントロールしにくいもの

○スキル (Skill)
社員や企業が持っている特定の能力。
おこなっているビジネスに重要で、しかも競合他社にないスキルがあれば、競争優位を確立することができる。

○人材 (Staff)
どのようなリーダーシップがとられているか、採用と人材育成の方法はどのようになっているか、どのような人材が何人いるかなど。

○スタイル (Style)
組織の文化や経営スタイル

○共有価値 (Shared value)
会社のよりどころとなる経営理念や価値観が浸透しているか。

これら7つの要素は互いに影響しあう。
企業の競争優位の確立には、そのビジネスに合わせて、これら7つをバランスよく備えることが重要であるとされる。

―― 引用ここまで ―――――――――

スモールビジネスの場合で考えていけば・・・

ハードのSはそのまま使えると思いますが、ソフトのSについては・・

スキルは、まさに自分自身のスキルです。
掛け合わせることで、ユニークさが出ます。

人材は、どちらかというと人脈と置き換えた方が
発想がし易いかもしれません。

スタイルは、あなたの出自や経歴、趣味や家族構成など。
ビジネスと関係なくてもアフィニティー・マーケティング(同類・類縁マーケティング)のチャンスになります。

共有価値は、あなたの提唱する価値観などに置き換える

といった、発想ができると思います。

ただし、強み・差別化を支えなければ、
その独自資源は持っていても意味がありません。

強み・差別化から、独自資源を育成する、というのも手ですし、
反対に、独自資源から強み・差別化を導き出す、というのも手です。

ご参考になれば幸いです。

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