(株)白元の民事再生法申請を読み解いてみる
驚きました。
我が家も使っているミセスロイドの白元が、
民事再生法申請とのニュースです。
白元といえば、
パラゾール、ホッカイロ、アイスノン、ミセスロイドと、
息の長いヒット商品を出している印象でした。
ゆたぽん、快適ガードプロなども白元です。
最近では、
屋外の広範囲に虫よけのバリアをつくるスマートな虫よけ器!
『mixing(ミクシング)Airdome(エアドーム)』
肌に薬液を塗る必要がなく、火を使わず、
虫よけ効果は約40m2(約24畳)と広範囲に効きます
という、面白い商品を発売していましたが・・・
参照:日経プレスリリース
「白元、屋外の広範囲に虫よけのバリアをつくるスマートな虫よけ器を発売」
さて、そんなに経営が厳しかったのかな、というのが第一感。
結構な白元ユーザーであることもあって、気になって調べてみました。
帝国データバンクの記事によれば・・・
―― 引用ここから ―――――――――
しかし、主力のカイロ部門の売り上げが伸び悩むなか、他社の新規参入の影響もあって保冷剤部門の売り上げが大幅減収となり、2013年3月期は年売上高約304億8600万円と落ち込んでいた。このため、新製品開発に向けた関係強化を目的に2013年5月には住友化学に対し第三者割当増資を実施。また、収益性が低く、資金負担が重いカイロ事業を2014年1月に興和(名古屋市)に売却するなど経営改善に努めていた。
こうしたなか、今後に向けた協議を金融機関と進めていたが、結実せず、今回の措置となった。
―― 引用ここまで ―――――――――
・・よくわかりません。
カイロ部門が伸び悩むなか、保冷剤部門が新規参入の影響もあって大幅減収?
厳しいとはいっても、300億の売上がある会社が、そんなに簡単に行き詰るとは思えません。
東京商工リサーチの記事によれば・・・。
―― 引用ここから ―――――――――
そうした中、26年1月、日本国内での使い捨てカイロ事業を大手医薬品製造販売の興和への譲渡を発表。
~中略~
ところが、時期を前後して白元の決算内容に信憑性の問題が浮上。これに伴い取引金融機関も白元の支援策について継続的に協議を重ねる事態に発展し、白元は金融機関に対し26年3月末から6月末までの返済猶予などを要請した。しかし、銀行団として白元の支援について方向性を決定するまでには至らず資金繰りが逼迫状態となっていた。このため取引行が日常の資金繰り支援を進めるなか、26年5月頃には監査法人によるデューデリジェンスが行われる事態となっていた。
取引先も実態を重く見たことから自力再建の道が絶たれ、民事再生手続きによる会社再建を目指すことになった。
TSR速報 | 倒産・注目企業情報 | 東京商工リサーチ
東京商工リサーチ(TSR)が速報で配信する最新の倒産・注目企業の信用変動情報。負債総額が原則30億円以上の大型倒産情報および話題の注目企業の信用変動情報を速報でお伝…
―― 引用ここまで ―――――――――
決算内容に信憑性の問題が浮上・・・。
これですかね。
すると、こんな気になる記事が・・
FACTA『経営危機の「白元」に増資代表訴訟を恐れる住友化学』
―― 引用ここから ―――――――――
ここに来て大がかりな不正経理が見つかり、経営危機に陥っている。
しかも、白元の不正経理発覚は初めてではない。2006年3月期に「上場に向けた体質改善の一環」と説明し、得意先への期末の押し込み販売を是正するため68億円の赤字を計上した過去がある。ところが、それ以後、上場の動きはなく、11年にはあずさ監査法人が任期途中に辞任するなど、不透明な会計処理が続いている疑いを持たれていた。
~中略~
3月中旬には取引金融機関を集め、粉飾決算を修正するため、今3月期決算は62億円の最終赤字を計上し、自己資本がほぼゼロとなる見通しを示し、3月末から当面の返済ストップを要請する事態となった。
産業再生機構の元COO・冨山和彦氏が率いる「経営共創基盤」が再生計画を作り、銀行団との交渉を引き受ける案も浮上したが、あまりにも杜撰な経理処理に匙を投げたと伝えられ、瀬戸際に追い詰められている。
実は、「白元危機」に頭を抱えているのは大株主の住友化学。昨年5月、白元の要請を受けて19億円の株式を引き受け、提携関係を強化したばかり。わずか1年で全損の憂き目では目も当てられない。「どのような資産査定を行ったのか。経団連会長を務める米倉弘昌会長のワンマン体制の綻び」と揶揄する向きもある。
「19億円をドブに捨てたと株主総会で叩かれ、株主代表訴訟を起こされかねない……」と、住友化学の財務担当は青ざめている。
―― 引用ここまで ―――――――――
不正経理で銀行に目をつけられて、
本来きちんとした会計をしていれば受けられたであろう
融資を受けられなかった、
といったところでしょうか。
これが、帝国データバンクの記事の、
“今後に向けた協議を金融機関と進めていたが、結実せず”
の実態なのでしょう。
MBAのアカウンティングのクラスでは、
不正経理とか粉飾決算の事例を取り扱うことが多いですが、
会計がしっかりしていない会社は、
経営にスキャンダルのネタを抱えているものです。
この後、いろいろと情報が飛び交うかもしれません。
ええと、『mixing(ミクシング)Airdome(エアドーム)』も、
住友化学独自のテクノロジー「STRONTEC(ストロンテック)(R)」を
採用とのことです。
住友化学の米倉会長=経団連の米倉会長。
こちらにも影響があるかもしれませんね。
マーケティングのハナシのはずが、アカウンティング(会計)のハナシとなりました。