メガネスーパーの戦略から学ぶターゲッティングの基礎

日本人の2人に1人がメガネを持ち、その数は6,000万人とも7,000万人ともいわれています。
そしてメガネは必需品でかつ、買い替え需要があるものです。
加えて、パソコン、タブレット、スマートフォン、電子書籍リーダーの普及など、
目が悪くなる環境要因は増える一方です。
こんな安泰な市場はないと思われるかもしれません。

ところが、05年までは、5,000億~6,000億円で推移していたメガネの市場規模は、
09年には4,000億円を下回るほど縮小しました。

もちろん、市場規模の縮小要因は、
少子化で人口減になったワケではなく、
コンタクトレンズに視力矯正需要を獲られたワケではなく、
レーシックというキラーイノベーションによって視力矯正需要自体を減らされたワケでもなく、
安売り競争による単価下落です。

その前提で、今日の記事を紹介したいと思います。

―― 引用ここから ―――――――――

7期連続の最終赤字にあえぎ経営再建中の眼鏡販売チェーン大手メガネスーパーが、復活をかけて事業モデルを転換する。ミドル・シニア層を主なターゲットにした「アイケア重視のサービス型店舗」の導入だ。高齢化の進展に伴う老眼鏡のニーズの高まりや、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及で眼に負担がかかる現状に着目。単に商品を販売するだけでなく、「眼の健康寿命」に配慮した商品・サービスを提供し、他社との差別化を図る。

「本日開店です。お気軽にごらんください」

6月6日、西武新宿線下井草駅前の商店街(東京都杉並区)にあるメガネスーパー店舗。星崎尚彦社長は店頭で、買い物客らに向けて声を張り上げた。店の存在を印象付けようと、簡易型の老眼鏡約1000個を無料で配布。従業員に対し、星崎社長は「『街の眼鏡屋さん』としてご指名いただけるよう、しっかり根を張ってくれ」と念を押した。

神奈川県小田原市に本拠を置くメガネスーパーは1980年に創業し、テレビCMで知名度を高めながら全国主要都市に進出。メガネトップや三城ホールディングスと並ぶ「眼鏡チェーン御三家」として、ピーク時には541店を展開していた。

しかし、2000年代に新興チェーンの「JINS」(ジェイアイエヌ)や「Zoff」(ゾフ)が仕掛けた低価格競争に競り負け、08年4月期から赤字経営が続く。12年に創業家から経営権を引き継いだ大手投資ファンドのアドバンテッジパートナーズは不採算店約230店を整理、従業員の希望退職も募り、事業再建を図ってきた。

そして昨年11月、5年ぶりに新規出店を再開した。開店済みの13店舗を含め、16年4月までに出店する65店舗のほとんどが小商圏型の店舗だ。従来、個人商店などが囲い込んできたシニア層の取り込みに力を注ぐ。

まもなく就任1年となる星崎社長は「シニア重視の態勢がようやく整った」と語る。検査サービスを充実して来店客に「眼年齢」などのリポート提供を始めたほか、眼の疲れを軽減する独自設計のレンズを投入。昨年11月以降、既存店売上高が前年比プラス基調に転じた。

7月からは、さらに「サービス型」へと舵を切る。高齢者の多くが悩まされる白内障対策では、眼鏡購入時に5000~7000円の「安心パック」を申し込めば、手術で視力が変化してもレンズを何度でも無償交換する。また45~64歳向けには、購入時に3000円支払えば、老眼の進行に応じて2割引でレンズ交換できるパックも提供する。

8月からは、眼精疲労を改善するマッサージや検査、カウンセリングなどの「アイケアサービス」を強化した新業態の展開も始める。「すぐには購入しない方も気軽に来店してもらい、接点を増やすことで売り上げアップにつなげていく」(束原俊哉取締役)のが狙いだ。

メガネスーパーの新戦略について、業界アナリストは「有望なシニア市場に活路を求めるのは正解だ。競合他社に比べて補聴器販売にも強く、トータルで伸長するチャンスは小さくない」と分析する。

後継難の個人店の廃業などから、全国の眼鏡店舗数は07年の1万6533店から13年には1万4108店(眼鏡光学出版調べ)と15%も減少している。きめ細かいサービスで小商圏での店舗展開に活路を見いだそうとするメガネスーパーの戦略は異彩を放つ。

「老眼市場」に復活かける メガネスーパー背水の陣
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140706/biz14070612000001-n1.htm

―― 引用ここまで ―――――――――

メガネスーパーの狙いを簡単にいうならば、
“ミドル・シニア層をターゲットに絞った”
“絞ったターゲットにあわせた商品・サービス展開を仕掛けた”
ということです。

このメガネスーパーの戦略が当たるのかどうか
つまり市場に受け入れられるのかは、現段階では
なんともいえません。

とはいえ狙いはシンプルで評価できます。
売りものがメガネや付帯商品・サービスでも、
お客様が買っているのは「眼の健康寿命」というワケです。

さて、ここで考えていただきたいのは、あなたの業界についてです。

安売りする新興業者が現れて、価格競争に巻き込まれる。
競争激化のなかで、個人店は消えて、チェーン店に吸収されていく・・。

たとえば、個人の酒屋などは、気がつけばコンビニに変わってしまいました。
内側にいると“自分の業界は特殊”と思いがちですが、
業種業態は異なっていても、同じような“力学”が効いています。

つまり、メガネ業界で起こったことは、どの業界でも起こり得ることです。
(実際、起きそうになかった士業でも起きています)

そのとき、あなたは自分のビジネスをどうするのか?

メガネスーパーから学べばターゲットを絞りましょう、となります。

しかし、この“客を絞る”という発想がホントに嫌いなことは理解しています。
であれば、メガネスーパーの社長この言葉に大きなヒントがありますので、
参考にしてみてください。

“まもなく就任1年となる星崎社長は「シニア重視の態勢がようやく整った」と語る。”

あなたのビジネスは、
どのようなお客様を重視して、その態勢を整えるのでしょうか?

\ 最新情報をチェック /