サービス・マニュファクチャリング

週末は、レビット博士のマーケティングアカデミーということで。
今回は、『サービス・マニュファクチャリング』という1972年の論文からです。
以前ご紹介した『マーケティング近視眼』や『模倣戦略の優位性』と同じくマッキンゼー賞受賞論文です。

今回、この論文を取り上げる意図はもちろんあって、それは、
サービスのマニュファクチャリング(工場制手工業)から、
仕組み化(システム化)の感覚を磨くためです。

そして、最終的に目指すところは、
もちろんマーケティングのシステム化です。

・顧客満足を向上させましょう。
・お客様に満足いただける店づくりを常に意識しています。

ほとんどのビジネスが掲げていることです。
しかし、これを仕組み化できているところは、
実際には非常に少ないです。

レビット博士がいうマニュファクチャリングを導入すると、
次のように仕組み化されます。

----- 引用ここから ------------------------------

たとえばホテルでは、飲み物用のグラスは真新しい紙袋またはフィルムで包み、トイレのシートには消毒済みの紙テープを巻き、トイレ用ティッシュの端は使い古しでないことを示すように三角形を外に出さなければならない。これらの心遣いは、無言ながらはっきりと「この部屋は、あなたが心地よくお使いくださるように念を入れて清掃されています」と語っている。何も語らなくとも、宿泊客にこのメッセージが伝わるのである。いずれにしても、言葉だけで顧客を納得させられないし、ホテルの従業員がそのつど、言葉で表したとしても、宿泊客はそれをうのみにしたりはしない。ホテルは、このような心遣いによって約束を有形化するだけでなく、サービスのデリバリーを工業化しているのである。

セオドア・レビット『無形性のマーケティング』
(1981年ハーバード・ビジネス・レビューより)

----- 引用ここまで ------------------------------

つまり、顧客満足のための行動がなにかを決めて、
それをマニュアル化(標準化)することです。

誰がいったか忘れましたが
「勝つヒトは、仕組みで勝つ」
という言葉を聞いたことがあります。

どれだけ、行き当たりばったりを減らすことができるか、
どれだけ、読み通りにコントロールできるようにするか、
もちろん、これができればできるほど“すべて”が
よい方向に流れます。

それでは、明日からお伝えしていく、
『サービス・マニュファクチャリング』を
お楽しみください。

完結しましたので、以下バックナンバーです。
どんな産業にもサービスの要素がある
製品は工場内で、サービスは工場の外で
サービスの問題は「心の姿勢」に帰せられるのか
製造の論理が約束するもの
サービスに製造の発想を取り入れたマクドナルド
店主の意思を入れる余地のない店舗
フレンチ・フライド・ポテトのオートメーション
マーケティングの機械化
サービスを道具で武装せよ
厨房室の鏡ひとつが訓練以上の効果を示す
ソフト・テクノロジーによるサービスの高品質化
工場外で製造された製品の効力
製品ラインの変更によるサービスの効率化と質の変化
だれもが使いこなせるシステム
中途半端な妥協が失敗の原因
顧客が何を求めているかで製品を定義する
アイスクリームメーカーの惨敗
工場の発想をサービス活動に

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