見込み客を不快にさせてまで広告を打つ意味はあるか?

マウスオーバー広告というのをご存知でしょうか?

“マウスオン”とか書かれていて、
クリックしなくても、マウスのポインタをあわせるだけで、
広告表示が大きくなったり、動画が再生されたりするやつです。
Yahooのトップページでよく見かけるあれです。

マウスオーバー広告は、昨年あたりから一気に増えて、
最近はちょっと減ってきたように感じていたのですが、
今日、久しぶりに“被害”にあいました。

さて、このマウスオーバー広告について、
半年前くらい前ですが、面白い取材をしている方がいらっしゃいました。

―― 引用ここから ―――――――――

ネット上の広告として最近目につく「マウスオーバー(マウスオン)広告」。クリックしなくてもカーソルが触れただけでブラウザいっぱいに広告が表示されたり勝手に動画が再生されたりして、正直ウザい。そう思っているのは記者だけでなく、ツイッターでちょっと検索しただけでも「マウスオーバー広告ウザすぎ」「死ね」「滅びろ」と怨嗟の声が渦巻いている。その広告を出している企業を名指しで批判するツイートも多々あり、広告としてむしろ逆効果なんじゃないかと心配になるほどだ。

実際、今回の記事のために意見を募集したところ、「広告自体を否定はできないけど、アレは好感度アップにはつながらない。強引すぎる」「今現在見てる記事を邪魔するように出てくるマウスオン広告に嫌気がさして広告ブロックを導入しました。今までバナータイプの広告なら気になる広告はクリックしたりしてましたが、マウスオンは不快感でしかなく何の広告だったかも覚えてません」といったコメントが数多く寄せられた。

さらには「某放送局のマウスオーバー広告のせいで(ドラマ出演者の)俳優まで嫌いなりそう」「某バンドのメジャーデビューアルバムの広告がそれでした。オンマウス状態になるとYouTubeから勝手に動画を開いてその動画を閉じる×印のところがちょうど広告の位置になりどうにも抜け出せない状態になって非常に不快でした」と、出演するタレントやバンドまでがとばっちりを受けかねない状況に。

そこで、こうしたマウスオーバー広告をよく見かける企業として複数のユーザーから名前の挙がった数社に取材をお願いしてみた。

質問事項は、
1)御社がマウスオーバー広告を採用している意図・狙いは何ですか?
2)その広告手法に不快感を示す人がいることをご存じですか?
3)「逆効果ではないか」との意見について、どう思われますか?
4)今後、その広告手法について見直す考えはありますか?
の4つ。

ところが、「企業のマーケティングに関わる案件のため、弊社からの回答は控えさせていただきます」「今回いただいた貴重なご意見を今後の業務の参考にさせていただきます」といった木で鼻をくくったような回答ばかりで、まともに相手にしてくれない。

そんななか、唯一きちんと答えてくれたのが劇団四季だ。ミュージカル『マンマ・ミーア!』のマウスオーバー広告に多くの「ウザい!」の声が寄せられていたのだが、「確かに不快に感じられる方もいらっしゃるだろうなと、ご指摘を受けて我々も思いました」と広報担当者は率直に語る。

「今回、代理店さんのほうから『新しい広告の形』ということでご提案を受けまして、『じゃあやってみよう』とトライアルのつもりでやらせていただいたんですね。ただ、やはりご指摘のとおり、利点と欠点があると。その点については我々も非常に配慮を欠いていたというか、そこまで気が回らなかったというのがありまして……」と恐縮しきり。どうやら広告出す側もあまりよくわかってなかったらしい。

今後については、「どのように活用していくか、違う形で何か展開するのか、改良した形でできるのか、現時点では白紙」とのこと。「今回のご指摘も含め、いろいろ吟味しつつ次の展開を考えたいと思います。いずれにせよ、我々が少しうかつでした」と広報担当者は最後まで恐縮していたが、とても誠実に対応していただいて、記者の劇団四季への好感度は大幅アップ。何なら『マンマ・ミーア!』を観に行ってもいい。ほかのマウスオーバー広告出してる企業の皆さんも、ぜひユーザーの心の叫びに耳を傾けていただきたい。 <取材・文/新保信長>

日刊SPA!「「御社のマウスオーバー広告がウザいんですけど」と聞いてみた」
http://nikkan-spa.jp/592501

―― 引用ここまで ―――――――――

と、広告主も意図していない形での、逆効果な面も指摘されています。

そして、実際に逆効果と思ったところは別な広告手法に変更をしたり、
いきなり音声を出さないようにしたりと工夫をしているのかと思います。

さて、マウスオーバー広告に限らず、
こういった“不快感を示す人”がいる広告って、
どう思われますか?

キレイゴトを一切排除すると、
“不快感を示す人”が多い=それだけ目立ったということです。
費用対効果があうならば、どんどん広告を出すべだ、
というのが私の考えです。

さらに収支も取り払って考えれば、広告を打つことで、
“買わないハズのヒトが、買うヒトに変わった”
“買うハズのヒトが、買わないヒトに変わった”
どちらが多いのか、ということです。

今現在マウスオーバー広告が打てるような、
広告費をかけられる認知度が高い企業であるならば、
ブランド棄損の影響も気になります。

とはいえ、一般的な中小企業ならば、
そもそも認知をされていないワケですから、
“不快感を示す人”がいるくらいでないと、
広告を出す効果が“弱い”といえます。

“差別化しても、お客様に認知してもらわなければ意味がない”と
以前記事に書きました。

認知してもらうには、相応の“パンチを効かせる”必要があります。
そういう目立つことをすると、不快に思われる方がいるのも事実ですし、
ハードクレームを入れてくる方もいます。

ですが、そういう方って・・・
そもそも買わないお客様だし、
付き合ってはいけないお客様だ
(厳密にはお客様という言葉も変なのですが)
と考えれば、気がラクになります。

“見込み客を不快にさせてまで広告を打つ意味はあるか?”
⇒あります。

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