クラウドにご用心
久しぶりにシステムの記事です。
銀行のATMはご利用になったことがあるかと思います。
カードを入れて、暗証番号を入れて、預金を引き出したりします。
さて、もしも、カードなしでATMが利用できるとしたら、
とても怖くはないでしょうか?
つまり、4ケタの暗証番号さえわかってしまえば、
預金は引き出し放題、という状況です。
そんな怖い状況と、なんら変わりがないのが、
パブリック・クラウドに類されるサービスです。
―― 引用ここから ―――――――――
FBI(連邦捜査局)も捜査に乗り出した、有名女優のヌード写真流出事件。利用されたのは、アップル社のクラウドサービス「iCloud」だった。
アメリカのタブロイド紙に躍った、「あなたの秘密が丸裸に」との見出し。
有名女優のプライベートヌード写真などが、インターネットの掲示板上に大量に流出し、ハリウッドに衝撃が走っている。
名前が挙がっているのは、アカデミー賞女優のジェニファー・ローレンスさん(24)をはじめ、「スパイダーマン」シリーズに出演しているキルスティン・ダンストさん(32)など、100人以上の有名人のプライベート写真が流出したという。
ニューヨークでは、「たくさんの写真、ヌードの写真が、ネット上にさらされているのを見たわ」との声が聞かれた。
現地の報道では、犯人は、掲示板への投稿をやめる代わりに、仮想通貨「ビットコイン」を要求しているといい、FBIも捜査に乗り出した。
今回の流出騒動は、世界でも高いブランドイメージを構築している、アップルのクラウドシステムからと伝えられていて、ニューヨークのユーザーも、高い関心を持っている。
今回流出した写真は、iPhoneを販売するアップル社の「iCloud」と呼ばれるサービスから盗まれたもの。
日常生活で、iPhoneやiPadを使って撮る写真。
そのデータは、iCloudと呼ばれるサービスによって、ネット上に保存される。
そして、ユーザーの好みによって、パソコンなど、さまざまな端末を使って楽しむことができる。
今回の流出事件で狙われたのは、このiCloudと呼ばれるサービスだった。
街の人は「(iCloud使っていますか?)はい。そんなセクシーショットはないですけど」と話した。
iCloudでは、例えば自分のiPhoneで撮影した写真を、クラウドと呼ばれるネット上のサーバーに自動で保存。
同じユーザー名とパスワードを使えば、パソコンやiPadなどの情報端末でも、同じ写真を見ることができる。
さらに、写真以外にもアプリのデータやメール、文書や音楽ファイルなども保存でき、便利な一方、もし、ユーザー名やパスワードが盗まれると、見知らぬ第3者に写真やデータを盗まれるおそれがある。
街の人は、「(今のパスワードは複雑?)あまり複雑じゃない。覚えるのが...。すぐに打てない」、「わたしの誕生日とか知っていれば、ばれちゃうようなパスワード」と話した。
アップル社は、今回の流出事件について、特定の著名人のIDやパスワードを狙ったもので、個別のアカウントが攻撃されたものだとして、iCloudシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を否定した。
ITジャーナリストの三上 洋氏は「アップル側の報道では、パスワードがわからないときに、『秘密の質問』が設定されている。セレブというのは、多くの場合、過去の経歴、好きな犬の名前など、あらゆる情報が公開されている。パスワードを忘れたときの秘密の質問が、(犯人に)推定されてしまった」と話した。
アップル社と捜査当局が協力し、犯人の特定を進めている。
FNN『有名女優ヌード写真流出事件 FBIも捜査に乗り出す』
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20140903-00000915-fnn-int
―― 引用ここまで ―――――――――
個人が利用して、自身の情報のみを流出させるだけならば、よいですが、
一緒に写真に写っていた方がいたら、たまったものではないですね。
さて、そうはいっても、広義の意味では個人のレベルです。
もし、これがビジネス利用をしていた場合は、どうなるでしょうか?
会社の基幹業務をサポートするクラウドサービスも出ています。
○○アプリをビジネスで使って業務効率アップというような情報も常に溢れています。
その一方で、そのような便利なサービス(そして比較的安価)を利用することによる
セキュリティ・リスクには十分に意識が払われていないようです。
パブリック・クラウドに情報をアップするということは、
それが顧客の個人情報であれ、企業の機密情報であれ、どうでもいいスクラップ情報であれ、
「この情報は盗み見られている。そして、それを防ぐことは自分にはコントロールできない」
という前提で臨む必要があります。
自分がコントロールできる方法は主に2つです。
・パブリック・クラウドに漏れて困る情報は絶対にアップしない。
・漏れても中身が判別し難いように暗号化や鍵付き圧縮をして保存する。
本当に大切な情報は、会社の中の金庫の中か、会社の中の施錠したサーバールームの
中へ“隔離”しましょう。