顧客教育がなぜ重要か?
競争の激しいビジネスをしているという自覚のある方は、
今日の記事は何度か読んでみてください。
教育という言葉に対して、アレルギーのある方も
いらっしゃるかもしれません。
「お客様を教育するなんて失礼ではないか」と思われる方は
「自社の商品・サービスのよさを分かっていただく」とか、
マイルドな言葉に置き換えてください。
本質は同じです。
顧客獲得や新規開拓をどうするかを考えるとき、
私はお客様を2つの状態に分けて考えます。
それは、
“A.いますぐ買う気のあるお客様”
“B.いまは買わないけれどそのうち買うかもしれないお客様”
です。
もちろん、アナタが興味あって歓迎するのは、
“A.いますぐ買う気のあるお客様”
だと思います。
ですが、お客様の立場や状態になって考えてみると、
この“A.いますぐ買う気のあるお客様”は、
やっかいな面もあります。
なぜなら、すでに欲求を持って、比較検討の段階にいますから、
“誰か”とアナタを比べに来ている可能性は大です。
全部が全部ではないですが、実質上、相見積りやコンペの状態です。
選ぶ理由は、アナタが持つ価値基準ではなく、
お客様の持っている価値基準(例えば値段)によって測られます。
ですから、お客様からの要望も厳しくなりますし、
値引き要求もくることでしょう。
コダワリのある商品・サービスを扱っている方からすると、
歓迎しない客ばかりがやってくる事態となります。
※「そんなことはない」と思われる幸せなビジネスをされている方は、
これ以降を読む必要はありません。
「確かに、困ったもんだ」と思われる方のみ読み進めてください。
この“A.いますぐ買う気のあるお客様”が、やっかいなのは、
ひと言でいえば、あなたの顧客教育が完了していないからです。
顧客教育が完了していれば、アナタが持つ価値基準、
つまりはアナタのところから買うべき理由を、
お客様は理解している状態になります。
顧客教育を言い換えれば、
お客様の持っている(素人の誤った)価値基準に対して、
プロとして正しい選ぶ基準を授けてあげる、ということです。
アナタの示す価値基準に共感したお客様は、
最終的にアナタの元から買っていきます。
ですから、私がおススメする顧客獲得や新規開拓の手法は、
“B.いまは買わないけれどそのうち買うかもしれないお客様”を
集めて、教育することです。
(だからこその、ツーステップマーケティングです)
例を挙げた方がわかりやすいですね。
仮に、あなたが食材卸だとして、
“B.いまは買わないけれどそのうち買うかもしれないお客様”の方へ
「うちは食の安全にトコトン拘るので国産無農薬しか扱わない。代わりに値段は高い」
というスタンスで、国産無農薬の素晴らしさを教育したとします。
「なるほど、そのとおり」と共感したお客様ならば、
値段にあれこれ言わずにアナタから買います。
対して、「別に、国産無農薬でなくてもいい。もっと安いのがいい」というお客様ならば、
アナタがするべきは「では、どうぞ他所で買ってください」と伝えることです。
「では、輸入品と同じ値段まで値下げしますから買ってください」
なんて妥協する真似は、アナタに共感する他のお客様に失礼です。
そして“A.いますぐ買う気のあるお客様”というのは、えてして、
「キャベツ1箱いくら? うっわ、高い。半額にして」という状態です。
この状態から、「いや、うちは食の安全に・・・」と説明するのは、
骨が折れます。
私がいう顧客教育の重要性は、なんとなくご理解いただけたでしょうか?
さて、ここまでお読みいただいた方は、
「ではどうやって顧客教育をしたらよいのか?」と疑問を持つことと思います。
色々方法はあるのですが、今日は、最近私が「スゴイ」と思った実例を
ご紹介させていただきます。
明確な取材記事などはないので、あえて社名・店名は伏せさせていただきますが、
ある住宅メーカーさんの例です。
その住宅メーカーは、木材に拘った家づくりを提案しています。
木材といっても材料から加工にも拘っています。
そして、それ相応の値段がします。
さて、ここで質問です。
家を建てるのは、どのようなヒトでしょうか?
・・・。
正解、「家族連れ」です。
ですから、この住宅メーカーさんは、住宅展示場の一角を、
子供が遊べるキッズスペースとして会員制で解放しました。
もちろん、キッズスペースも木材に拘り抜いたものです。
そして、子供を遊ばせている親の目に留まるのは、
どうして木材に拘った家の素晴らしさを伝えるポップなどです。
(例えばアレルギーがなくなったとか・・)
こうして、「やっぱり木の家って、いいわ」と教育をし尽くすと・・
いざ家を建てようとなった場合の、第一候補はその住宅メーカーさんです。
文句なしで優れたツーステップマーケティングの仕組みです。
(他にも優れた仕掛けや効果があるのですが、
あまり語ると営業妨害になりかねないので控えます)
さて、「言いたいことは分かるけど、そんな悠長なことはしてる暇はない」という方へ、
実は、“B.いまは買わないけれどそのうち買うかもしれないお客様”を集めようとすると、
なぜか一定確率で、“A.いますぐ買う気のあるお客様”も集まります。
このときの“A.いますぐ買う気のあるお客様”は、あなたの意見を聞きたい、
柔軟な考えをもった、“本当にオイシイお客様”だったりします。
まとめ。
同業他社が“A.いますぐ買う気のあるお客様”を追っている間に、
“B.いまは買わないけれどそのうち買うかもしれないお客様”を
せっせと集めて教育しましょう。