他業界のアイデアを拝借する実例2
アイデアは、同業他社の真似をするのではなく、
異業種・他業界から拝借しましょう、といことを
何度か書いています。
これ自体は、別にわたしが言い出したことではないですし、
あなた自身も、知識としては理解していると思います。
かといって、実戦で取り入れるとなると、
これは、なかなか難しいことでしょう。
たとえば・・・
あなたが自動車産業にいて、新車の開発をしていると仮定します。
あなたは責任者です。
部下が、新しい自動車のウリとして、
「キャラクターグッズやお菓子みたいに、
各地域でしか売っていない車を出すのって、どうですか?」
と、提案されたら、どうするでしょうか?
・実現性がない
・前例がない
・無理だ
と、ついつい考えてしまうようでしたら、
あなた自身がアタマの堅い抵抗勢力です。
軽自動車のダイハツは、その案を取り入れました。
―― 引用ここから ―――――――――
8月末にマイナーチェンジし、全国で一斉発売したダイハツ工業の軽自動車「ミラ ココア」が、これまでにはなかった取り組みを展開している。発表会で、中島雅之チーフエンジニアが「女性の感性に合った車を開発するには、オジサンではダメなんだと」と語ったように、ココアは全体の9割が女性ユーザーで占めるという点が大きな特徴だ。
デザインは前モデルの丸みを帯びたかわいらしいフォルムを引き継ぎ、ボディカラーを15種類、内装色を9種類に拡充。これまで十数通りだった組み合わせを、軽自動車では最多となる160通りまで増やした。また新たな試みとして、全国を15の地域に分け、販売会社の女性社員が中心となって開発した、地域限定の特別仕様車を投入している。
■女性による女性のためのチームが開発
今回の刷新に当たっては「ココかわプロジェクト」を結成。社内のあらゆる部署の女性社員が集い、顧客調査、内外装デザイン・用品開発、販促策の検討まで、一貫してプロジェクトに所属する女性社員が担った。
こうした取り組みの背景にあるのは、顧客の大半を占める女性の嗜好だ。「(ココアは)ほかの軽自動車に比べて、感性、個性で選ばれる車。ますます多角化している女性の感性をしっかり反映させるべく、“好みに合わせて選べる”という価値にこだわった」(ダイハツの堀井仁専務)。
ココかわプロジェクトのリーダーを務める山尾有佳氏
8月26日の発表会でも、ほぼ全編の説明をココかわプロジェクトリーダーの山尾有佳氏が担当した。新しいモデルのフロントフェイスデザインのバリエーションについて「きらきらハッピーフェイス」、「ほっこりフェイス」と説明するなど、表現一つを取っても女性ならではの感覚が垣間見える。
全国各地、地域限定販売の特別仕様車の提案も、このプロジェクトから生まれた。東北、信越、近畿、東海など、全国を15ブロックに分け、各地域のダイハツ販売会社の女子社員が中心となり、内外装のデザインを行った。
信越地区ではスイーツをモチーフにしたブラウン基調、東海では乙女心を前面に出したピンク基調にするなど、それぞれの地域で行った顧客のヒアリングや調査に基づいて、独特のカラーを打ち出している。北海道限定で販売される「雪ミクココア」は、さっぽろ雪祭りを皮切りに人気に火が付いた初音ミクの派生キャラクター「雪ミク」がモチーフに作成された。
■”イタ車”にならない気配り
プロジェクトメンバーとして雪ミクココアのデザインに携わったダイハツ北海道販売の内山英恵さんは、「北海道らしさや雪ミクの世界観を大事にしつつ、普段乗りに抵抗があるほどの“イタ車”(イタい車)にならないように気を配った」と話す。
確かに、内装は雪ミクのイメージカラーである青と白をふんだんに使う一方、外装はエンブレム横にさりげなくミクのシルエットが入っている程度で、雪ミクの主張は最低限に抑えられている。北海道地区では雪ミクココア以外にも2種類の特別仕様車を開発。いずれも「こんな女性に乗ってもらいたい」というイメージを明確にするため、メンバーで持ち寄ったファッション雑誌のモデルの切り抜きをヒントに、内外装のデザインを詰めていったという。
カラフルで特徴的な内外装は、店頭に置かれているだけで目を引く。発売後の反応について、「こちらが想定していた若い女性に限らず、すべての世代の女性が特別仕様車に注目してくれている」(ダイハツ)という。
実は、ダイハツの「地域密着」の取り組みはココア以前にすでに始まっている。先行例は、今年6月に全面刷新して復活した軽自動車のスポーツカーの「コペン」だ。
骨格だけで従来の安全性を担保できる構造を採用し、樹脂の外板パーツをスマートフォンケースのように着せ替えできるようにした。外板は自社の開発・製造にこだわらず、全国各地のデザイナーやクリエイターを広く募って充実させていくという。
こうした取り組みのハブとなるのが、全国70カ所に設けた販売拠点「コペンサイト」だ。ダイハツの販売店内にショップ・イン・ショップ形式で出店しており、地域特性を踏まえた独自のアフターパーツを販売するほか、ツーリングなどのイベントも主催する。テレビCMをいっさい行わず、各地のコペンサイトに販促の重点を置いている。
■全方位の販売戦略に”限界”
なぜ、ダイハツはこれまでとは異なる開発・販売戦略に舵を切ったのか。コペンのチーフエンジニアを務めた藤下修氏は、その狙いを農産物にたとえる。「大きな流通に乗せて量販店で売られている農産物は規格や価格が決められている。一方、各地域の道の駅などで独自にブランドをつけて売られている。後者は顧客のフィードバックを直接受けられるから、それぞれの地域にあった形に改良できる売り方だ。車でもそれができないかと」。
燃費のよさや車内空間の広さなど、軽自動車の基本性能をめぐる他社との差別化は、ますます厳しくなっている。そうした中、ライバルのスズキが今年1月に発売した軽SUV「ハスラー」はアウトドアという趣味性を強く打ち出したことで爆発的にヒットした。「360度全方位という販売戦略だけでは、今後やっていけなくなるだろう」(藤下氏)。社内で議論を重ねた結果、各地域、各販売店で独自性を打ち出しやすい製品・販売戦略という、新たな策を編み出した。
コペンでは販売に際し、同社で初めてとなるカフェ形式のメーカー直営拠点「コペンローカルベース」を鎌倉に設置している。車に関する情報発信だけでなく、鎌倉野菜を使用した軽食メニューを充実させることで、「コペンファンだけでなく、地域の方が気軽に立ち寄れる場所にしたい」(堀井専務)。
■基本性能プラスアルファをどう提案するか
ブランド発信を行うと同時に自社で直接顧客ニーズの吸い上げを行い、次の製品開発に生かしていくという。カフェ形式の直営拠点は、関西などほかの地域へも展開を広げる考えだ。これらの販売施策も手伝ってか、6月末に発売したコペンは月間販売目標700台に対し、7月末までに4000台、8月も1000台というペースで受注台数を伸ばしている。
もちろん、今後も燃費性能や車内空間の広さ、安全性など、軽自動車の基本的な価値を巡る競争がなくなるわけではない。ただ、基本性能プラスアルファを提案していかなければ、これ以上パイを広げられない段階に来ているともいえる。コペン、ミラココアで始まった「地域限定」の挑戦は、業界に新たな風を吹き込めるか。
東洋経済ONLINE『ダイハツ、地域密着で「ココア」を売る狙い』
http://toyokeizai.net/articles/-/47177
―― 引用ここまで ―――――――――
以前記事にしたコペン同様、面白い試みです。
(前回の記事はコチラ)→他業界のアイデアを拝借する実例
ところで、
”「360度全方位という販売戦略だけでは、今後やっていけなくなるだろう」”
この言葉は、カナリ重いだと思いました。
これは自動車業界のハナシだから、と考えたとしたら、
大事なことに見落します。
マスマーケットを対象にしていた大企業が、
本格的にニッチマーケットを狙い始めている
ということです。
とすると、そもそもニッチ色がある中小スモールビジネスは、
順当に考えれば、もう一段階、深いニッチに絞っていく、
つまり、これまで成立していたターゲットをより絞っていく
「必要性」に迫られるでしょう。
では、どこに絞るのか、そのヒントは既存顧客にあります。
きちんと既存のお客様をRFM分析などで、
どなたが何をどれだけ購入しているかを分析すると、
全体の2割のお客様が、全体の8割の売上を支えているということ
(もしくはそれに近しい傾向)に気付くと思います。
いわゆる80:20の法則です。
さらに、その上位2割のお客様の中でも、
やはり更に2割のお客様が、全体の8割の売上を支えています。
つまり、上位4%が、64%の売上を支えている計算になります。
この上位4%は”結果として、あなたを最も支持した代表者”です。
徹底的に、その傾向や共通点がないか見つけましょう。
そここそが、まさにあなたが追加で絞るニッチ分野です。