既存顧客を軽視する携帯電話業界の愚

今日はちょっと毒があります。

携帯電話業界はいわゆる寡占ですし、競争も激しいです。
客を奪い合うのは当然でしょう。

ですが、奪い合うことに目が行くあまり、
自らの首を絞めています。

愚かなことはしてはいけないと、
反省材料にしましょう。

―― 引用ここから ―――――――――

NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDIの携帯電話大手3社は10日、米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)6」と「6プラス」を19日に発売すると発表した。予約は3社とも12日午後4時から受け付ける。

「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」(東京都千代田区)には10日、「いつから予約できるのか」「実物はないのか」などの問い合わせが相次いだ。同店の三好誠マネージャは「画面が大きいし、話題の商品なので昨年以上に期待できそうだ」と手応えを感じている。

携帯3社は予約開始時までに端末の販売価格や料金プランなどを発表する見通しだ。3社がそろってアイフォーン新モデルを販売するため、1年前の「5s」「5c」発売時と同様、顧客獲得競争が激化しそうだ。

今春の年度末商戦では、番号持ち運び制度(MNP)を利用して他社から契約を変更した利用者に多額のキャッシュバック(現金還元)を行うなど争奪戦が過熱し、総務省も問題視。

各社が自粛して沈静化したが、調査会社は「基本ソフト(OS)にアンドロイドを採用したスマホが売れないため、売れ筋のアイフォーン新モデルでキャッシュバックが復活するのは避けられない」(MM総研)とみる。

昨年アイフォーンを売り出したばかりのドコモは顧客争奪で優位に立つとみられる。2年契約で安く端末を購入した利用者の多くはMNPを利用しないためだ。

一方、国内で最も早くアイフォーンを販売したソフトバンクは「古い機種の契約者層が多く、草刈り場になりかねない」(同)とみられている。

携帯各社はMNP利用者1人が転出すると転入先会社との純増減数の差は倍の2人となるため、キャンペーンで見劣りするのは避けたいところ。3社とも「本音はやりたくないが、他社がやれば追わざるを得ない」と他社の出方をうかがっている。

総務省は「年度末のような(家族4人で10万円など)目に余るキャッシュバックはないと思うが…」と注視している。

SankeiBiz『携帯大手3社の現金還元争奪戦が再燃か 「iPhone6」問い合わせ相次ぐ』
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140911/bsj1409110500001-n1.htm

―― 引用ここまで ―――――――――

そもそも、ビジネスの核となるのは、
顧客を獲得し、維持していくことです。

ですから、その昔は携帯電話会社も、契約者へは安い機種で釣って、
以降は契約年数が増えるごとに割引額を増やしていく、
というプランを作っていました。
(いまも、基本はそうですが)

ところが、携帯が国民全体に普及すると様子も変わり、
新規≒他社からの乗り換え、になります。

ここで、どうやったら他社から乗り換えてもらえるだろうと
あの手この手を考えるワケです。

そして、
・1年契約してくれたら10年以上契約者と同じだけの最大割引します。
・機種の値段は、新規の方のみ9割引きにします。
というような強烈なオファーを出します。

勘の鋭い方はお気づきでしょうけれど、
この強烈なオファーは、その強烈な分だけ
既存客からしてみれば強烈な損です。

自分は、長くその携帯電話会社をひいきにしているのに、
携帯機種を新参者の10倍の値段で買わされて、
かつ新参者の方が使用料も安いのです。

既存客は馬鹿馬鹿しくてやってられません。
カスタマーロイヤルティなんて、育ちようもありません。

こんなだから、顧客が流出するのです。
そして、流出する分を補うために、もっと新規に強烈なオファーをして、
結果、もっと顧客流出を促進しているのです。

どうせやるなら“乗り換えしないで割”でしょうに。

最安値だけを追い求めるチェリーピッカーでもない限り、
乗り換えによるスイッチングコストは意識しています。
ですから、他社から乗り換えさせるよりは、
既存客に乗り換えさせない方が、割引も小額で済みます。
全体の予算で考えたら大きな違いがあります。

というワケで、新規客を優遇するならば、
優遇されない既存客がどう思い、どう感じ、どう行動するかを
よくよく考えましょう。

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