ソフト・テクノロジーによるサービスの高品質化
スモールビジネスの場合、経営にまつわる諸々のことや
マーケティングにまつわる諸々のことが、
自己流からはじまることが多いように見受けられます。
それ自体は、決して悪いことではないのかもしれません。
ですが、どこかで、もっとよいやり方や、
効率化や標準化できるようなやり方があることに気付ければ、
それを仕入れて、よい意味で取り入れるようになります。
目指す競合や、異業種でのロールモデルになるようなビジネスが、
”見えないところ”で何をしているのか?
それを考えて、想像してみるのも、ときには参考になるでしょう。
―― 引用ここから ―――――――――
ソフト・テクノロジーによるサービスの高品質化
人間の労働の代わりに利用されるいわゆる「ハード・テクノロジー」(設備機器の類)の例は、すでに無数にある――ウエートレスに代わるコーヒー自動販売機、銀行の出納係に代わるキャッシュ・ディスペンサー、事務員に代わる自動旅行保険契約機などだ。これらはサービスに対して製造と同じ考え方を応用したもので、まだまだ他の分野にも広がるに違いない。
それ以上に将来有望だと思われるのは、「ソフト・テクノロジー」(テクノロジーを利用したシステム)の応用である。マクドナルドは、まさにソフト・テクノロジーの例である。投資信託会社もそうだ。曇りのない目で見さえすれば、他に例はいくらでもある。生命保険業の例を取り上げてみよう。
生命保険の営業担当者は、サービス業といわれている。しかし、実際にしていることは何だろうか。まず見込み客と話し合ってそのニーズを調べる。同時に、それに合った、いくつかの契約モデルを設計する。そのモデルに対する客の反応を探りながら、モデルの「顧客使用テスト」を実施する。その後で、最終モデルをつくり直し、顧客に売り込む。この方法は、突き詰めてみると、工場外で製造する例にはならないのだろうか。この場合、工場は顧客の応援室のなかにあり、製造者は保険代理店である。我々はこれを営業担当者だと誤って考えている。しかし、営業担当者を製造者と考えると、保険をいかにうまく売るかではなくて、いかにうまく製品設計し製造するか、ということに考えが行き始める。
たとえば代理店は、その顧客と類似ニーズを持った人のための保険プランを図示した、きれいな小冊子を提供することもできる。これがあればより信頼性も高まり、情報も多くなってプランの選択もしやすくなる。やがては、電話に接続されたコンピュータに蓄えられたこのような情報を、電話一本で手に入れるようにもなるだろう。
つまり、代理店は口先だけで売り込むのではなくて、顧客ニーズを正しくくみ取ることによって、製品を効率よく効果的に生産できるシステムをつくろうと考え始めるのである。
セオドア・レビット『サービス・マニュファクチャリング』
(1972年ハーバード・ビジネス・レビューより)
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それではまた来週。