値上げをするか、値下げをするか
本日は、価格設定について。
明日から10月です。
値上げのニュース、値下げのニュース、いろいろありますが、
いまのトレンドは、間違いなく値上げです。
先日、スタバが今年2度目の値上げを発表していました。
―― 引用ここから ―――――――――
スターバックスコーヒージャパンは17日、主力商品の「スターバックスラテ」など12商品の全サイズの税抜き価格を、10月1日からそれぞれ10円値上げすると発表した。
牛乳などの原材料価格が上昇しているためだ。
対象は「キャラメルマキアート」や「カフェモカ」など、エスプレッソにミルクを加える商品が中心。値上げの一方で、使用するミルクの乳脂肪分を増やしたり、使用するコーヒー豆の鮮度を高めたりして「香りや風味をより感じられるようにした」(広報)としている。
スターバックスが多くの商品で一斉に値段を変更するのは、4月の消費税増税の際に続き今年2度目。
読売新聞『スタバ、「ラテ」など12商品を10円値上げへ』
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140917-OYT1T50098.html
―― 引用ここまで ―――――――――
値上げしても客がついてくるならば、限界まで値上げをしよう、
というのは経営としては正しい判断です。
私も基本的な価格戦略の方針は値上げです。
もちろん背景には、
往々にしてビジネスオーナー本人が根付けをする場合、
価格を安く設定しすぎる傾向があるからですが。
とはいえ・・・
タイムリーには日清食品も値上げを発表するなど、
どこを向いても値上げのニュースの方が聞こえる
タイミングでは、価格を変更するチャンスではあります。
ひとつ、目立たないまま値上げができます。
値上げは顧客心理、というか脳に“痛み”を与えます。
あなたが支払いをする立場で“値上げします”と告げられたときに、
感じる痛みがそれです。
単発で“痛み”を与えると、顧客に印象に残ってしまいます。
ですが、どこもかしこも値上げをしている状態ならば、
つまり顧客が“痛みに慣れている”状態であれば、
あなたが値上げをしても目立ちません。
これが、ひとつ目のチャンスです。
もちろん企業にとっても、原材料が高騰していますし、
電気料金高騰のボディーブローも効いています。
価格に転嫁せざるを得ないというのが正直なところでしょう。
もうひとつ、値下げ(低価格)が顧客アピールになります。
さきほど述べた電気料金は10月から一斉値下がりするようです。
とはいえここ数年で高騰してきた水準が戻るわけではありませんが、
しかし、顧客からしたら、周りが値上げ情報にあふれる状況では、
値下げという言葉自体が一服の清涼剤になります。
ですから、「お客様のためを思ってウチは値下げします」というのは、
このご時勢だからこそ顧客の支持を集めることができます。
低価格戦略をいくオーケーが、私の地元相模原で出店を続けて勢いを感じます。
オーケーをご存知ない方のために少し解説するべくWikipediaより引用すると、
―― 引用ここから ―――――――――
オーケー株式会社(英: OK Corporation)は、東京都大田区仲六郷に本社を置く中堅のディスカウントセンター (DC) 及びディスカウントスーパーマーケット (DS) を展開する企業であり、関東地方と東北地方に店舗(オーケーストア)を有する。
~中略~
人口密度が高い国道16号の内側を出店戦略地域としている。
1986年以降、世界最大小売企業アメリカ合衆国ウォルマートを手本に「EDLP」(Everyday Low Price = 毎日安い)と呼ばれる価格戦略を取り入れ、株式は公開せず、株価が経常利益と連動する種類株式目論見書を店頭サービスカウンターで配付して募るなど、無借入金で経営している。
―― 引用ここまで ―――――――――
というスーパーです。
値下げをすると、当然、利益が薄くなります。
販売コストも増加しますから、なおさらです。
ですが、
オーケーの現場を傍から眺める限り、
少なくとも客がレジで支払っている金額だけならば、
他のスーパーマーケットよりも多いのではないかと思われます。
(データはありませんが、現場の肌感覚として)
値上げが“痛み”であるならば、
値下げは“快楽”です。脳にとって。
「あの商品がこんなに安い、ならば買ってしまおう」
あなたにも、経験があるのではないでしょうか。
こうして、ホントは要らないものまでつい手が出て、
この積み重ねが、お買い上げ点数の増加に繋がり、
最終的ないっぱい買って、いっぱいお金を落とす、
に繋がっているように思えます。
周りが値上げして高価格ならばなおさらです。
これがもうひとつのチャンスです。
つまり、値上げor値下げ、どちらを取るにしてもチャンスです。
そのカギになるのが顧客視点です。
ご紹介したスタバも、オーケーも、
その価格戦略の根底には、「顧客はついてくる」という自信を感じます。
あなたは値上げor値下げ、どちらを採択しますか?
もし値段を変えないのであれば・・
「(他と違って)ウチは値上げをしません」とアピールしましょう。
何もしていないのに、支持を得ることができます。