ノウハウの落とし穴
世の中には色々なノウハウが溢れています。
書店に行けば、ことビジネスの、さらにマーケティングに絞ったとしても、
新規開拓や、リピート促進など、様々なノウハウ本が売られています。
探す範囲をインターネットに広げれば、よりたくさんのノウハウが見つかります。
ただし、このノウハウには要注意です。
ノウハウに、ウソや粗悪品がない、という前提でも、
あなたが価値を引き出せるとは限りません。
たとえば・・・カレーの作り方で考えてみましょう。
※本当のカレーの作り方のハナシではなくて、
あくまでビジネスノウハウの喩えバナシです。
シンプルに3ステップならば
1.玉葱、ジャガ芋、人参、肉を炒めて水を注ぐ
2.具材が軟らかくなったら火を止めてカレールーを入れる
3.再び火をつけてルーが溶けたら出来上がり
くらいの説明になるでしょう。
さて、これでカレーが作れるでしょうか?
・玉葱、ジャガ芋、人参、肉はどこで買うのか?
・切らなくていいの?
・柔らかくなったら、ってどの程度?
とか・・
・火加減は強火・弱火?
・全部で何時間煮るの?
・ごはんがない・・・
とか・・
本当の料理の初心者ならば、情報が不足していて、
立ち往生してしまいます。
3ステップのカレーの作り方(ノウハウ)は間違っていません。
ですが、誰でもカレーが作れる(価値を引き出せる)とは
限らないのです。
さて、立ち往生した初心者は、それでもカレーを作るために
次の行動を起こします。
最もありがちなのが・・・
「このレシピでは、うまくカレーは作れない。
だから、次のカレーのレシピを探そう」
です。
そして探そうとすると、様々なノウハウが出てきます。
オチだけをいえば・・・
「カレールウの箱の裏を読むダケでよい!!」とか、
「食べさせるヒトの喜ぶ姿を想像すること。そうすれば、自然と上手になれる」とか、
「わたしは、小学生のうちに親から教わっていたので作れました」とか・・・。
「確かにね」とは思えます。
耳には優しい(?) ものもあります。
ですが、やっぱりあなたにとって役に立ちません。
なにを見てもカレーを作るという目的が達成できないので、
「自分はカレーすらも作れない」と段々と自信もなくしていき、
最悪は、自分には料理の才能がないと、ネガティブなレッテルを
自分自身に貼るようになります。
これが、ノウハウの限界です。
つまりは、コトのはじめには、
全体像のなかから「あなたの場合は、これ」という、
カスタマイズされた“診断”がどうしても必要になるのです。
さて、カレーの作り方をビジネスに置き換えてください。
起業の仕方でも、新規事業の作り方でも、広告の書き方でも、
なんでもよいです。
なんにしても、ノウハウを集めるだけでは不十分です。
繰り返しますが、コトのはじめには、教わることが必要です。
「守破離」でいう「守」です。
確かに独学だけで、なんとか成し遂げた先人はいます。
しかし、その先人たちの背後には、たび重なる試行錯誤と失敗、
その積み重ねによって諦めた先人達のライバルたちがいることを
忘れてはいけません。
ちゃんと、どこかで誰かにきちんと教わりましょう。
あと、最近増えているコーチングは、コトの初めに受けるのはお薦めしません。
(業界全体や特定個人を、悪くいう意図はありません。念のため)
あなたが「美味しいカレーを作れるようになりたいです」といえば、
「あなたにとって美味しいカレーとはどんなカレーですか?」と、
あなたのチカラを引き出すための質問をしてくれます。
とはいえ、そもそもその分野のチカラがなければ、なにも引き出してもらえません。
そして、そのセンセイはカレーを作ったことのないケースも多々あります。
その分野の経験がなくてもできるのがコーチング(を売る側)の利点ですから。
こんなコーチングを受けて、なにか解決するのでしょうか?
ですから、あなたがコトの初めに受けるべきは、ティーチングです。
カレーをイチから作れるようになりたいのならば、
料理教室に行きましょう。
ビジネスでの課題があるのなら、
その道の専門家に相談しましょう。
コトの初め、と書いていますが、自分の専門分野でも
枝葉が別れたら専門外です。
それをできるようになりたいならば、
謙虚に初心に帰る必要があります。