定石でも失敗する原因

物事するときの、最上とされる方法・手順を「定石」といいます。
(デジタル大辞泉より)

この定石という言葉がどこまで一般的かは分からないのですが、
少なくとも囲碁や将棋を嗜む方にとってはお馴染かと思います。

馴染みのない方は、「必勝法」とか「秘訣」とか、意味が近い
馴染みの言葉に置き換えてみてください。

さて、もちろんビジネスにも定石はあります。

たとえば、新規事業を立ち上げならば、事業計画策定時に
弾き出した経費を2倍するとかです。

マーケティングにも定石があります。
価格帯を複数作るとかです。

あなたの業界にも、いろいろな定石があると思います。

定石自体はとても強力です。
定石を知っている量が、勝敗を分けることもあります。

ただし、定石を使う際に注意しなければならないことが1つ。

それは、きちんと定石のウラにある背景も理解したうえで、
使いましょう、ということです。
よくワケもわかっていないのに定石をつかうと、
定石どおりなのに、なぜか上手くいかない・・ということが
起こり得ます。

定石は、元々は先人達の失敗や研究から導き出されたことですので、
きちんと前提や根拠のあることです。

先の“経費を2倍”の例で見てみると・・
簡潔に説明すると次のようになります。

新規事業が立ち行かなくなる一番の理由は、資金の枯渇です。
資金がなければ、支払ができなくなって、倒れてしまいます。
ですから、資金を減らす要素、つまり出費に注目します。

事業計画策定時には、これだけ費用がかかるハズだ、と
どれだけ細かく費用項目を洗っていったとしても、
必ず、抜け漏れや、アクシデントによる予期せぬ出費が出てきます。
そのような予期せぬ出費をすべて織り込むために、
費用を2倍にしているのです。

マーケティングの例に出した“価格帯を複数作る”に関しては、
まさに、前提背景を知らずの例がありました。

私がマーケティングを学び始めた直後のことです。

あるケーススタディにおいて、ある消費財の発売に関して、
一般的な価格帯のAと、プレミアム価格のBとを発売する、
といった内容でした。
ケースのメインは、いかにAを売っていくかという内容に
なっていくのですが、私にはどうしても気になることがありました。
それは、「どうして売れると思っていないBを作るのか」ということです。

そこで、私は、一緒に学んでいた先輩マーケターの方(実務経験が豊富な方)へ
「どうしてBを作る必要があるのでしょうか?」と質問しました。

その方は、一瞬固まって、
「どうしてだろう。そうする(=価格帯を複数作る)ことが当たり前だと思っていて、
なぜかとか考えたことがなかった」と答えたのです。

現役のマーケターに至っても理由がわからず定石を使っていたワケです。

繰り返しになりますが、きちんと定石のウラにある背景も理解したうえで、
定石を使いましょう。

マーケティングの定石ならば、
売ることイコール人の心を動かすことですから、
最終的には、どのような心理効果に根ざしているのか、
ということに行きつくハズです。

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