巨大なライバルにどう立ち向かうか~ローソン差別化を読み解く
マーケティングは他業界から学べといいます。
とはいえ、他業界のどこから学ぶのがよいのでしょうか?
わたしなりにアドバイスをするならば、
その業界の2番手、3番手がやっている創意工夫を
学びましょう、ということになります。
スモールビジネスやベンチャーの基本戦略はニッチを攻めることです。
業界ナンバーワンや、大企業との直截対決は避けなければなりません。
とはいえ・・・
永遠に直接対決が避けられるかというと、そうもいかない場合は訪れます。
時として、相手を正面から打ち負かさなければならない場合もあります。
コンビニ業界では、セブン-イレブンだけが一人勝ちのような状態に
なりつつありますが、そこでローソンが取ろうとしている差別化戦略から
何を学べるでしょうか?
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大手コンビニのローソンは、都内などで高級スーパーを運営する成城石井を10月31日に買収する。そのメリットの一つとして同社が考えているのが、「製造小売り(SPA)のノウハウを手に入れられる」という点だ。
SPAとは原材料の調達から製造、販売までを一企業で担うことをいい、代表的な企業にユニクロを運営するファーストリテイリングなどがある。成城石井も自前の工場で総菜やパンなどを作って各店舗に配送している。
■世界一の小商圏型SPAを目指す
コンビニは一般的に「商品は仕入れて売る、自分たちで製造はしない」と思われがち。しかし、ローソンは、新浪剛史・前社長の時代から「世界一の小商圏型製造小売業を目指す」と宣言、原材料調達や製造までさかのぼる取り組みを進めてきた。
商品開発を担当する大山昌弘専務は「川上までさかのぼると商品の質を高められ、同時に粗利益を上げることもできる」とその狙いを示す。小売業界を分析する野村証券の正田雅史マネージング・ディレクターは、「SPAの場合、スピード感を持って機動的に動くことができ、さらに同じ企業文化の中で一気通貫で物事が進められる」とそのメリットを指摘する。
「先日、デンマークまでバターを買い付けに行ってきた。産地にまで小売りが行くというのはあまりない」(大山専務)。
現在、乳製品は世界的な需要の高まりや国内酪農家の減少により厳しい調達が続いている。通常であれば商社を通して原材料を輸入するところだが、「商社は自分(商社)にとって都合のいいものや王道のモノ(乳製品であればニュージーランドなど)が多い。私も商社出身だから分かる。そうではなく、本当に自分たちが必要とする原材料は何なのか、というところから考えた」(大山専務)。
その結果、“オーガニックで乳化剤の入っていないもの”を仕入れることに決め、行き着いたのがデンマーク。価格も商社を通すより2割ほど安く仕入れられたという。「王道からずれたニッチなものは、商社には持ってきてもらえない」(同)。
ローソンでは原材料仕入部という20人ほどの専門部署が2003年に発足。2012年には原材料調達から製造まで一貫して関わる子会社も設立し、SPAの確立を目指してきた。国外での直接買い付けのほか、国産原材料の調達にも注力している。
■食品の機能性表示に期待
さらに大きなチャンスと見込んでいるのが2015年春にも予定されている機能性食品の表示規制緩和だ。この緩和により「胃の調子を整える」などと表示できる食品が増える。
同社はローソンファームと呼ぶ自前の農場で農作物生産に着手しており、リコピンを多く含んだニンジンなど栄養価の高い野菜の生産や、メーカーと協力して品種改良にも踏み込んでいるという。ゆくゆくはこれらの野菜を商品化し、機能性表示をする考えだ。
ローソンでは昨年10月から「健康」という概念を戦略の柱に据えてきた。「人間にとって一番大切なのは健康。おいしさに健康価値がプラスできれば、新しいマーケットが作れるのではないか」と大山専務も、機能性表示の緩和には大きな期待を寄せている。
同社では健康に良いと判断した食品の売上高を、一般的なメーカーの商品(NB商品)も含め2013年度の600億円から今年度は1000億円、2017年度には3000億円まで引き上げようとしている。同社のヒット商品としては低糖質で糖尿病やダイエット中の消費者に人気の高い「ブランパン」があるが、いまひそかにヒットしつつあるのが「お菓子」だ。
低糖質、低カロリーなどが商品開発の主な軸だが、ほかに2億個の乳酸菌が入ったローソン専用のビスコ(江崎グリコの定番ビスケット製品)などがある。当初これらの商品は20~30歳代の女性などがターゲットだったが、実際に売り出してみるともう少し上の世代の女性によく買われた。
■健康菓子コーナーを拡充
「これまでは、“お菓子で健康”、ということは意識していなかったが、データを見てみると(消費者に)受け入れられている」と大山専務は自信を見せる。
売れ筋のNB商品と比べて、健康菓子はリピート率が数%高いものもあるという。店舗でもこれら健康菓子だけのコーナーを確保しており、今後の成長に期待をかける。
先述のビスコは江崎グリコが製造しているが、含まれている乳酸菌は違うメーカーの商品を組み合わせている。ローソンでは各メーカーの持つ独自技術を収集、代わりにポイントカードサービス「PONTA」で集めた購買データを提供し、共同で商品開発を行う「イノベーションラボ」と呼ぶ取り組みに力を入れている。メーカーの持つ技術やノウハウを掛け合わせて新しい商品を生みだし、ローソン店舗という実験場で検証を重ねられる仕組みだ。
4月の時点でこのラボに協力しているメーカーは70社ほどだったが、現在その数は倍の140社ほど。当初は1社1社、メーカーの技術開発担当者を訪ね、狙いやメーカー側へのメリットを説明して回ったが、結果が出るにつれて逆に声をかけてくる事例も増えているという。
コンビニ業界では、王者セブン-イレブンだけが1店舗当たり売上高のプラス成長が続いており、独り勝ちの様相を呈している。ローソンは常々、「業界2位としていかに独自色を出すか」に苦心してきた。競争激化や消費増税の影響が続く厳しい環境のなかで生き残りをかけ、差別化への模索が続く。
東洋経済ONLINE『ローソン、「専用ビスコ」の深い戦略~原材料にこだわり、「お菓子で健康」を推進』
ローソン、「専用ビスコ」の深い戦略 原材料にこだわり、「お菓子で健康」を推進 | コンビニ | 東洋経済オンライン
大手コンビニのローソンは、都内などで高級スーパーを運営する成城石井を10月31日に買収する。そのメリットの一つとして同社が考えているのが、「製造小売り(SPA)のノウ…
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さて、“深い戦略”の中身は透けて見えたでしょうか?
“川上までさかのぼると商品の質を高められ、同時に粗利益を上げることもできる”
“ローソンでは昨年10月から「健康」という概念を戦略の柱に据えてきた。”
“大手コンビニのローソンは、都内などで高級スーパーを運営する成城石井を10月31日に買収する。”
などなどを組み合わせて考えてみましょう。
ローソンが買収した成城石井は、経常利益が業界平均の倍以上の6%台らしいです。
商品の品質や健康に気を使うのは、どのような方でしょうか?
もっというと、どのような所得水準の方でしょうか?
もったいぶらずに私の見解を述べますと、
ローソンが描いている絵は、
「え、あなたセブンイレブンなんて行っているの? ダサっ」
と、狙った顧客に思わせることでしょう。
こういう戦略を取っているからこそ、
それに合せた戦術(4P)を選んできます。
その典型がコチラ。
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ローソンは14日より全国のローソン店舗で、菓子メーカーの定番ブランド商品を高級仕様にした「大人向けプレミアム菓子シリーズ」を数量限定で発売した。
■原材料や製法にこだわった高級仕様
同シリーズ発売には、近年の少子化の影響を受け、従来子供向けであった菓子の大人向けの商品が増えている背景があるという。特に、定番ブランドの知名度を生かしながら、高品質に仕上げた商品が人気になっている。
このほど発売するのは、ロッテの「ガーナチョコレート」を使った「ポップコーン」。7種類の味の「ハッピーターン」アソート。パウダーの原材料にこだわった「ふんわり名人」の3商品。12月には第4弾の発売も予定しているという。
14日に発売する「ロッテ ガーナポップコーン」は、1,058円(税込)。ポップコーンの軽い食感を残しながら、濃厚な味わいを出すために、キャラメルでコーティングした後ガーナチョコレートをかけた。紙製の大型カップ容器に、3~4人分の240gを詰めている。
11月1日発売の「亀田製菓 ハッピーターンティータイム」は、70gで864円(税込)。抹茶味、紫いも味、いちごミルク味、パイナップル味、くちどけハッピーターン、くちどけハッピーターンきなこ味、ハッピーターン濃い目からなる7種類を、ローソンオリジナルのアソートにした。
11月25日発売の「越後製菓 ふんわり名人プレミアム」は、648円(税込)。「きな粉」(国産きな粉、和三盆糖使用)、「いちご」(福岡産あまおう使用)、「ミルク」(北海道産生乳使用)の3種からなるフレーバーを各4粒セットにした。
マイナビニュース『ローソン、定番商品を高級仕様にした大人向けプレミアム菓子を限定発売』
http://news.mynavi.jp/news/2014/10/14/539/
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いまとなっては、右も左もプレミアムで、プチ贅沢が溢れています。
ゆるキャラ状態で、はっきりいって違いがわかりません。
ですが、そもそもローソンは2002年に「おにぎり屋」で、
高級おにぎり市場を開拓するなど、プレミアム化は得意分野(なハズ)です。
狙った顧客にどう思われるようにするのか?
これは、すなわちポジショニング=差別化です。
あなたはどんなお客様に、どう思われたいですか?
それを戦略というかたちで立案しましょう。
そして、その戦略に従うかたちで、
戦術(商品や価格)へ落とし込みましょう。