製品ラインを整理する
予定とは変わりましたが、
『原材料の不足を逆手に取ったマーケティング』を
集中して掲載したいと思います。
1つ1つが短いので、日を跨ぐとかえって難解になりそうですので。
―― 引用ここから ―――――――――
製品ラインを整理する
企業の製品ラインはたいてい次の3つのカテゴリーを柱としている。
①かつての主力製品
以前は売れ行きがよく、大きな利益をもたらしたが、現在では需要の減少や競争の激化に見舞われ、利益にほとんど貢献していない。
②現在の花形製品
売れ行きが好調で利益を稼ぎ、他の製品を支えている。
③将来の有望製品
開発途上や発売直後の製品。まだ一人立ちはできていないが、将来の花形として期待が集まる。
このうちで企業にとって頭痛の種は、かつての主力製品である。最盛期を過ぎた製品を「安楽死」させようとすれば、根強い反発が避けられないからだ。成長の原動力として企業に貢献した製品ラインを冷酷に見捨てるのは、いったいどういう神経か、というわけだ。そのうえ営業部門も、「お客様はこの製品の存続を望んでいる」「この製品がなくなったら、ほかの製品ラインも売れなくなる」などと強く反対する。
後者の主張は、スーパーマーケットでパンを扱う理由に相通じるものがある。パンそのものはたいして利益につながらないが、店先からパンが消えたら客足が遠のいてしまう。
このような状況を打開するうえで、原材料不足の広がりは慈雨となりうる。注文通りに納品できなくても、あるいは納期が遅れたり納品量に不足が生じたりしても、顧客は理解を示してくれる。顧客は驚くほどの寛大さを見せて、ジョークにあるように、営業担当者を昼食に誘ってくれたりするかもしれない。このような時こそ、「かつての主力製品」の製造・販売を打ち切るまたとないチャンスである。「原材料が手に入らない」「他の製品ラインをつくるためには、売れ行きが振るわない製品を切って、より需要の大きな製品に原材料を振り向けざるをえない」といった説明を、顧客は理解してくれる。
同じ理屈は営業部門にも通用するに違いない。営業部門にとって、品切れや既存製品からの撤退を顧客に説明するのは、買い手市場よりも売り手市場のほうが、はるかに気が楽だろう。少ない販売努力で成果が上がる環境であればあるほど、製品ラインの統廃合に対する営業部門の抵抗は小さい。
セオドア・レビット『原材料の不足を逆手に取ったマーケティング』
(1974年ハーバード・ビジネス・レビューより)
―― 引用ここまで ―――――――――
続きは明日。