新規顧客を開拓する
引き続き、『原材料の不足を逆手に取ったマーケティング』の続きです。
今回ご紹介するところが一番強烈です。
―― 引用ここから ―――――――――
新規顧客を開拓する
原材料の生産者やOEMメーカーには、長年売り込みをかけてきたにもかかわらず、受注に至らなかった見込み客が必ずいるはずだ。これまではいくら努力しても、わずかなおこぼれにあずかるのが精一杯だった。ところが、原材料不足が慢性化すると、相手はそうそう調達先の選り好みをしていられなくなる。このため品薄は、手強い見込み客を攻略する絶好の機会をもたらすのである。
固定客向けには在庫を少なめに伝えて、浮かせた分を攻略したい見込み客に充てるという手もあるかもしれない。固定客の営業担当者には、割当量が減った理由は伝えなくてよい。一方、くだんの見込み客には、次のようなセールストークをすれば、効果はてきめんだろう。
「これまでは残念ながらお取引の機会がありませんでしたが、私どもでは御社をとても大切なお客様だと考えております。品不足の折ではありますが、何とかしてお役に立ちたいのです。精一杯の努力をして、月に少なくとも5,000トンはご用意しましょう。まずは、1万トンを正価ですぐにでも納入させていただきますが」
このように絶妙のタイミングで助け船を出しておけば、いずれ品不足が和らいだとしても、顧客はこの時の借りを忘れないだろう。
もちろんこの手法にはリスクもある。上得意客が、自分たちよりも新規顧客が優先されたことを察知すれば、やがて風向きが変わった折に、しっぺ返しがあるかもしれない。このため、慎重を期さなくてはいけない。とはいえ、品不足の憶測が広まっている以上、供給できる量が少ない旨を一生懸命に説明すれば、顧客はおそらく納得してくれるだろう。
セオドア・レビット『原材料の不足を逆手に取ったマーケティング』
(1974年ハーバード・ビジネス・レビューより)
―― 引用ここまで ―――――――――
ウチは製造業や卸ではないし・・・とは考えないでください。
この論文の根幹は、需要と供給のバランスの変化を、
どのようにして自分に有利なように働かせるか、に尽きます。
早いもので、明日で完結です。