クレームで顧客の心を掴むには
ビジネスをしていれば、クレームは避けられません。
クレームという単語を使うと、なんだか品質の悪いモノを売ったようで
気分が悪いかもしれません。
ですが、ここでは、一般的な改善要望も含めて、広義のクレームとして
ハナシを進めます。
ちなみに・・・・
こちらに多少の非があれど、怒り任せのハードクレームを
入れてくるのは、はっきりいって悪いお客様です。
(悪いというのはトラブルのタネという意味で)
よいお客様は、こちらの非を寛容に許しつつも、
改善要望という形でソフトに忠告してくれます。
「声のデカい」クレームだけをクレームと捉えていると、
本当に大切なお客様の声を聞き逃すことになります。
さて、というワケで本日はクレーム対応のハナシです。
実は、マーケティングにとってもクレーム対応は、
とても、とても、とても重要です。
クレーム対応をうまくすると・・・
なんと「ただの顧客」が「熱狂的なファン」に変化します。
どういうことか説明します。
たとえば、あなたが利用したことのある宅配サービス業をイメージしてみてください。
あなたが事業を提供する立場で考えると、
お客様を獲得するには、市場をセグメンテーションして、
ターゲッティングして、独自の強みを打ち出して・・・などと、
難しく考えてしまうことでしょう。
そして、サービスに共感してくれるお客様を集めようとします。
これ自体、なにも間違ったことではありません。
ですが、実際にお客様から依頼があった際に、
「このお客様はわたしのサービスに共感してくれたからやってきた」
と考えるのは早計です。
サービスのモノにもよりますが、お客様は、結構その場の成り行き任せで選んでいます。
ご自身がサービスを買う立場で考えてみてください。
いきなり顧客忠誠心がMAXなどということはあり得ないのは明らかです。
つまり、お客様は最初の利用(つまり購買)時点では、
その後も利用するかは決めてはいません。
極端な好意もなければ、極端な悪意もありません。
もちろん、サービスを提供する立場からすると、
「これからもずっとご愛顧いただきたい」と願うのは
自然なことです。
では、どうやったら、ただの初回客の方が、
熱狂的なファンに変わってくれるのでしょうか。
「顧客満足がファンを作る」という方もいますが、
だからといって初回取引で満足させれば、
あとは勝手にリピートするかといえば、
そうではありません。
なにより、あなたも、私も、
満足して、その後も需要があってもリピートしていないサービスは、
探せばいくらでもあると思います。
では、どうやって熱狂的なファンを作るのでしょうか?
そこでクレーム対応です。
なぜクレーム対応が効果的かというと、
それはお客様との“共同作業”になるからです。
たとえば青少年の男女関係でも、
宿泊学習で一緒にカレーを作ると
カップルができるとか、
“共同作業”自体が人間関係の距離を近づけるのに
効果があることは説明するまでもないでしょう。
実は、クレームもこの“共同作業”なのです。
これは、わたしが以前クレーム対応ばかりを毎日のように
していたときに気づいたことだったのですが・・
クレームがあるということは、
お客様がかかえる課題解決のチャンスです。
実際には、その課題が解決されても、されなくても、
実は、問題ではありません。
その問題解決に向かって、一緒に“共同作業”をした
ということ自体が重要なのです。
さて、やっていることは実にシンプルです。
まず、相手の意見を聞きます。
なにが不満なのか、どうなれば理想なのか等です。
あくまで相手の意見ですから、これは相手に関心を寄せて、
ただひたすら「そうですか」と聞くだけです。
続いて、その解決に向けて、可能なことを提案します。
相手の言い分を鵜呑みにするのではなく、
できないことはできない、といわなくてはなりません。
そして、こういう方法ならできるとか、
ここまでならばできる、といった形で、
提案をします。
もちろん、可能なことや約束したことは、
きちんと実行しなければだめです。
お客様の要望を100%応えられるということはそもそもありえません。
たとえば、「もっと安くして」という要望を聞き続けることはできません。
ですが、モノによっては簡易版を作ってそれを提供する、
といった提案はできるかもしれません。
さて提案をしたら、最後に決めるのはお客様です。
その提案でよしとするか、サービスの利用をやめるか、
それは、やはりお客様が決めることです。
ですが、きちんとお客様の要望を「汲もうとする」と、
その対応自体が価値を持つようになり、
「あなたの提案では、まるで私の要望には応えない。
正直、不満だ。でもこれからもあなたから買い続ける」
ということが起こります。
初回取引をしただけの感心がないお客様と比べたら、
どれだけ絆ができているか、という話です。
クレームがくると、気が滅入るのも確かです。
ですが、クレームは積極的にチャンスと捉えていきましょう。