差別化できない理由4

引き続き、差別化について。
昨日は、独自資源について書きました。

ちょっと説明が足りてなかったので補足します。

差別化・強みは、表面的には、
アッという間に、同業者に真似をされます。

でも、差別化・強みを、
独自資源で支えることができていれば、
競合の真似は一過性です。

真似した方が、勝手に消えていきます。

反対に、独自資源に根ざしていない差別化・強みは、
別のところでの競争(ほとんどは体力勝負)になります。

このあたりが、ベンチャーを成功させるならば、
「大手ができないこと、手を出したくないことをやれ」
という言葉の所以だと思います。

関連して、
競合が“真似したくない”ところで差別化する、
というのも手です。

お客様の側にはメリットがあるけど、
売り手の側では、面倒でやりたくないこと、です。
短期的にはマネできても、長くは続かない、
そのようなものです。

この場合、その面倒なことを
「やり続けられる」ということが
独自資源になります。

さて、とはいえ、
独自資源に支えられたとしても、
差別化・強みは、長期的にみれば、
必ずマネされて、陳腐化します。

24時間開いているコンビニも、
通話料無料の携帯電話も、
あっという間に“当たり前”になります。

では、1番手のオリジナルが勝ち残るか、
2番手、3番手が勝ち残るのか、
その違いは? というのが前回の問いでした。

ここで、電子書籍の例で
みてみたいと思います。
(以下、電子書籍について事実誤認がありましたら、
 ご指摘いただけますと幸いです)

歴史的に、最初の電子書籍を
出したのはSONYです。

AmazonのKindleや、
後に楽天に吸収されたKoboなどは、
後発組です。

そして、今現在でも、ハードウェアの性能や使い勝手は、
KindleやKoboよりもSONYのReaderの方が上だと、
クチコミ情報を見る限りは、そのように言われています。

ここだけみると、SONYが市場を牛耳りそうです。

しかし、みなさんもご存じのように市場を席巻しているのは、
Kindle(やKobo)で、SONYは押されっぱなしです。
先般、SONYの北米市場からの撤退も発表されました。

ここで、ふたつ目のキーワードは、
“お客様が選ぶ理由は変化する”です。

ちょっと復習します。
“差別化・強みは、お客様が自社を選ぶ理由”と書きました。

つまり、この“選ぶ理由”というのは、永久不変ではなく、
めまぐるしく入れ替わる、ということです。

どういうことか?
さきほどの電子書籍リーダーの例でいえば・・・

黎明期、電子書籍リーダーと電子書籍ストアはSONYが独占です。
電子書籍がほしいひとは、SONYで買うしかない状態です。

とはいえ、この時点で、お客様のアタマの中の選択肢は・・・
実際の物理的な本を買うか、電子書籍を買うかの選択です。

そして、この当初に、電子書籍に手を出すのは、マニアだけです。
(専門用語でいうならば、イノベーター(革新者)、アーリーアダプター(先駆者)
です。プロダクト・ライフサイクルでいう導入期です)

さて、マニアが電子書籍を選ぶ理由は、なんでしょうか?
ご想像のとおり、“新しければよい”のです。
ですから、ある意味で“やったもの勝ち”です。

さて、時代は流れて、まさに現代(ここ5年くらい)、
インターネットは当たり前になり、
スマートフォン、タブレットも当たり前の時代です。

マニアでなくても、新しいものに抵抗の少ない一般的な方がタブレットや
電子書籍リーダーで本を読む時代です。
(専門的にいうと、電子書籍がキャズムを超えたことを意味します。一般の方こと、アーリーマジョリティ(前期追随者)に浸透しています。プロダクト・ライフサイクルでいう成長期です)

この時点で、お客様のアタマの中の選択肢は・・・
どの電子書籍ストア&リーダーを使うかの選択です。

では、お客様が選ぶ理由は?

残念ながら、SONY優位である端末の性能や操作性ではなく、
競合に分がある、書籍の購買の便利さ(ストア)だったということです。
クチコミ情報を見る限りは、そのように言われています。

なので、ここが本当に重要です。

“差別化・強みは、お客様が自社を選ぶ理由”です。

一般的な意味での同業との差別化を図る際に、
お客様が“いや、そこでは選ばない”というポイントで、
どれだけがんばったとしても、
“だからといって、お客様が選ぶワケではない”
ということです。

言われてみれば、実に当たり前だと思います。
でも、大手も揃って、
「お客様には無価値な品質競争」が
やめられません。

「そんな性能いらないから、価格をもうちょっと下げて」
というようなことは、たくさんあると思います。

長くなったので、続きます。

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