(株)白元の民事再生法申請の続報を読み解く

少し記事にするのが遅くなりましたが、先月末に民事再生法申請をした白元について、
続報が出てきています。

東京商工リサーチの記事によれば・・・

―― 引用ここから ―――――――――

5月29日、東京地裁に民事再生を申請した(株)白元(TSR企業コード:290737460、台東区東上野2-21-14、設立昭和25年1月、資本金43億2473万8302円、間瀬秀和社長代行)は6月3日午後2時から、東京地区での債権者説明会をメルパルク東京(東京都港区)で開催、約800人の債権者が参集した。

~中略~

申請代理人の南賢一弁護士(西村あさひ法律事務所)は、民事再生法の適用経緯を次のように説明した。
「3月に財務状況が厳しいのでアドバイスをしてほしいと相談があった。私どもは事業再生を専門とする弁護士で、再生のアドバイスをしてきた。3月13日には金融機関に元金の支払いの一時停止を依頼するとともに、暫定的な再建計画を提示し、6月末までの融資残高の維持を要請した。これは金融機関のみに対するもの。各種財務調査を行い改めて計画を示す前提だったが、その内容の一部が外部に漏えいし、結果的に会社の信用不安を招いた。主力行などとの調整も行ってきたが、信用収縮に伴う資金不足など関係先との調整が難航し、5月末の資金手当が困難になった。民事再生法の適用申請の前日夜まで調整したものの解決できず、5月29日夕刻、臨時取締役会を開き、民事再生法の適用申請を決議し5時20分、東京地裁に申請した」。

~中略~

なお、一部報道では大掛かりな粉飾決算や諸々の不正があると報じられているが、この点については裁判所および監督委員の指導を仰ぎつつ、民事再生手続きのなかで明らかにしていきたいとしている。

TSR速報『(株)白元の債権者説明会の開催』より
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20140604_01.html

―― 引用ここまで ―――――――――

財務状況が厳しい、との記載がありますが、
発表された貸借対照表上(決算概要(速報値))の数値からは、
流動資産118億1231万円に対して、 流動負債209億7332万円(流動比率56.3%)でした。
確かに、分かりやすく厳しいですね。
とはいえ、この数字自体の信ぴょう性も疑われますが。

個人的には、“その内容の一部が外部に漏えいし”という記載が、気になるところです。

また、別記事によれば・・・

―― 引用ここから ―――――――――

「売家と唐様で書く三代目」--。この諺を地でいったのが衣服用、防虫剤「ミセスロイド」で知られる日用品メーカー白元(東京・台東区)の鎌田真社長(47)である。真氏は創業者・鎌田泉氏の孫にあたるが、今回、粉飾決算が発覚して老舗企業を経営破綻させた。

~中略~

その泉氏の孫である真氏は、慶應義塾大学経済学部を卒業して第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。日比谷支店勤務などを経験したが、91年に白元に入社した。96年には米ハーバード大学ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した後、98年に白元の取締役マーケティング部長に就任。ゴキブリを泡で包み殺す「ゴキパオ」、レンジで温める湯たんぽ「ゆたぽん」などのヒット商品を世に出した。常務取締役、副社長を経て2006年4月に社長に就任した。

~中略~

白元の破綻を受けて、百十四銀行(本店・香川県高松市)が債権の取り立て不能の恐れがあると発表した。債権の内訳は、貸出金が36億8800万円。百十四リースを通じたリース債権が2億9100万円の合計39億7900万円。債権のうち担保保全されていない14億円分については15年3月期決算の第1四半期(4~6月期)に引当金(損金)処理を行う。

東京に本社を置く白元のメインバンクが四国の百十四銀行というのは、かなり異例だ。その背景には、首都圏の銀行が真氏の交友関係を懸念して、距離を置いていたという事情があるという。例えば、真氏は07年には一部週刊誌で、テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代氏(当時、現参院議員)との交際が報じられることもあった。「銀行は世襲経営者がタレントと派手に遊び回ることを最も嫌う。だから首都圏の銀行は白元との取引から逃げた」(信用調査会社の元幹部)といわれている。

Business Journal『白元破たん、老舗日用品メーカーはどこで“誤った”? 3代目社長の暴走と、ずさんな財務』より
http://biz-journal.jp/2014/06/post_5094.html

―― 引用ここまで ―――――――――

ということです。

元バンカーの3代目ですから、銀行側の“ルール”は理解していたことでしょう。

それにもかかわらず、なのか、それだからゆえ、なのか、判断はできませんが、
金融機関とのつきあい方に、詰めの甘さがあったのかもしれません。

中小企業・個人事業では、会計をどんぶり勘定でやっているところも
あるかと思います。

立ち直ったビジネスの背景談として、
あまり語られることはあまりありませんが、
会計の立て直しを行った、ということはよくあります。

反対に破綻したビジネスで毎度のように語られるのは、
“使途不明金”とか“従業員の持ち出し”とか、
金勘定の緩さです。

マーケティングで成果をあげるにしても、
アカウンティング(会計)がしっかりしていないと、
最終的な“利益”という成果は残りません。

もし、経営の立て直しを、と考えるならば、
まずは、マーケティングよりも先に会計に
チカラを入れるべきでしょう。

とはいえ、本ブログのようなマーケティングの記事を
書いているところで、会計重視の発言をすると、
誤解が起こり得ますので、その点はフォローしたいと思います。

ここで会計にチカラを入れるとは、
会計で経営の実態把握ができるように
しましょう、という意味です。
それ以上の意味はありません。

言い換えます。

金勘定はきっちりしろ、しかしそれは、
金勘定以上の意味はもたない。
経営判断はマーケティングに従え、
ということです。

会計を基に、マーケティングを考えると、
致命的な判断ミスをします。

株式投資で失敗しないコツは、
CFOがトップになった企業には投資しないこと、
ということを発言していた方もいます。

この言葉の真意は、
会計屋はマーケティングが分からないから、
短絡的な採算だけをみて、
顧客の獲得・維持に必要な
広告やキャンペーンを止めたりする。
結果、経営において最も大切な、顧客を流出させて
経営が傾く、という意味です。

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