最高の商品をボツにしました
今日は、大失敗したハナシを共有したいと思います。
ほんの数日前のことなのですが、
とある新サービスの開発を進めていたときのことです。
詳しいことは言えないのですが、
簡単にいうと会心の戦略が練りあがりました。
その後の戦術を練るのもスイスイ進みます。
気分は一足先に“梅雨明け宣言”です。
自画自賛するようで恐縮なのですが、
本当に会心の出来だったので、
売れるニオイがして仕方がありません。
お恥ずかしい限りですが、これがもう
落とし穴にハマっているなによりの証拠。
そして、善は急げとばかり、
さっさとテストマーケをしようとして、
少し冷静になったアタマで気付くワケです。
「これ、絶対に、売れない・・・」
売れない理由は、基礎がなっていないからです。
基礎とはアイドマです。
ここで、わたしの復習にお付き合いください。
―― 引用ここから ―――――――――
AIDMA(attention,interest,desire,memory,action)
AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの一つ。
消費者はまず、その製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest)、欲しいと思うようになり(Desire)、記憶して(Memory)、最終的に購買行動に至る(Action)という購買決定プロセスを経る。このうち、Attentionを認知段階、Interest、DesireおよびMemoryを感情段階、Actionを行動段階と区別する。
このように、購買決定プロセスをいくつかに分解して、顧客がどの段階にあるかを見極めることで、マーケティング担当者は、顧客の状態に応じたコミュニケーション戦略をとることができるようになる。
グロービス・マネジメント・スクールMBA用語集より
―― 引用ここまで ―――――――――
どういうことか解説します。
きっちり差別化できた新しい商品・サービスというのは、
ある意味で“ひねり”が効いています。
この“ひねり”が得てしてお客様を“おいてけぼり”にします。
たとえば、“血液がサラサラになるスマートフォン”の
開発に成功したとします。(完全に空想の商品です)
動脈硬化予備軍の方に、ウケるの必至です。
ですが、スマホを買い替えにきたお客様に対して
“これで血液をサラサラにしましょう”と言っても
笑われるのがオチです。
実際の例としては、電子書籍がわかりやすいでしょうか。
最初の電子書籍リーダーは1990年に発売していたりしますが、
“市民権”を得たのは、ここ数年です。
仮に、どれだけお客様の満たされない悩みが解消されようと、
お客様の理解がついてこなければ、やっぱり売ることは難しいです。
どれだけ夢のような商品・サービスがあったとしても、
お客様が、その製品の存在を知り(Attention)、興味をもち(Interest)、
欲しいと思うようになり(Desire)、というプロセスを経るには、
それ相応の時間がかかります。
ツーステップマーケティングを導入して、
段階を踏んで理解してもらおうという手もありますが、
限界があります。
教育コストがかかり過ぎてしまうのです。
(それは、大企業がやるべきシゴトです)
と、いうワケで、この新サービスはお蔵入りとしました。
「真似できない独自性を打ち出せ」
「差別化は振り切れ」などなど、
格言めいたものがあります。
とはいえ、お客様にとって意味のある尖った差別化でも、
お客様の理解の範疇を超えてしまうレベルはダメです。
差別化としての正解が、必ずしもビジネスとしての
正解とはならない、という教訓でした。