【クイズ】ローソンMACHI cafe差別化の舞台裏編

先日、ローソンのマチカフェの差別化戦略についての称賛記事を書きました。

本日は、そのマチカフェの開発秘話について詳細に語られた記事を見つけましたので、
そちらをご紹介したいと思います。

ツボを抑え、とても内容の充実したインタビュー記事になっていますので、
あれこれ私がつけ足す必要はないかと思います。

とはいえ、そのまま引用するのも、面白みがないので
クイズ形式にしたいと思います。

Q1.ローソンは10年以上前から、コーヒー事業に何度もチャレンジするも、うまくいきませんでした。
その戦略的理由と、プロモーション上の理由はなんでしょうか?

Q2.マチカフェで追及したコーヒーの味を、競合に真似されないために行った対策はなんでしょうか?

Q3.差別化するために、競合他社と違うことをする(=業界の常識と反対のことをする)と必ず抵抗に遭います。
その抵抗勢力を抑えるためにマチカフェ開発担当が意識したことは何でしょうか?

では、本題となる記事です。

―― 引用ここから ―――――――――

「コーヒーはコンビニで買う」――。最近、こういう人が増えてきたのではないだろうか。

首都圏に住む20~40代の男女に、コンビニコーヒーを利用したことがありますか?(関連記事) と聞いたところ、約半数の人が「利用したことがある」(49.9%)と回答した(朝日大学マーケティング研究所)。なーんだまだ半数の人は利用していないじゃないか、と思われるかもしれないが、利用経験のない人の35%が「機会があれば利用したい」と答えている。数字を見る限り、今後もこの市場の拡大が見込まれるのだ。

ところで、ひとつ気になることがある。コンビニコーヒーはどんな人が買っているのだろうか。「男性はコーヒー、女性はカフェラテ」をよく飲んでいるイメージがあるが、本当にそうした傾向があるのだろうか。そこでローソンのマチカフェを担当している吉澤明男(MACHIcafe・まちかど厨房部・部長)さんに、男女年代別に“売れている商品”をうかがった。

またローソンのコーヒーはどのようにして生まれたのか。ヒット商品が生まれるまでの舞台裏にも迫った。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

~中略~

土肥: ローソンでは過去、何度もコーヒーを販売してきましたが、なかなかうまくいかなかったそうですね。

吉澤: はい。その理由のひとつは、メニューに「炭火焙煎」と書いていたからなんですよ。データを見れば分かりますよね。多くの女性はコーヒーではなく、カフェラテを好みます。「炭火焙煎」という文字を見ただけで、多くの女性は「カフェラテはないのか。私が買いたいモノはない」と判断されたのではないでしょうか。

土肥: コレスポンデンス分析のデータを見ると、女性客が多いようですね。

吉澤: コンビニというのは、朝・昼・夜に商品がよく売れるのですが、マチカフェを展開することによって、15時台に新たなピークができました。なぜピークができたかというと、この時間帯に女性がカフェラテを購入されているんですよね。同時に「スイーツや菓子パンも」といった感じで、平均して3点ほど買っていただいています。

土肥: なるほど。「こういうタイプの店で、コーヒーがたくさん売れている」といった傾向はありますか。

吉澤: 高速道路のサービスエリア内にあるお店は、よく売れていますね。長距離を運転されているドライバーが、ホッとひと息つきたいときに購入されているのではないでしょうか。これまでの過去最高は、1日で600杯売れました。

コーヒーというのは年代が上がるほど飲む人が増えてくる。なぜならストレスがたまってくるから……という話をしましたが、「ひと息つきたいなあ」と感じている人が多いところは、コーヒー需要が高いのではないでしょうか。オフィスの近くにあるお店は、よく売れています。かといって、地方がダメというわけではありません。ロードサイド店舗では、ドライバーがよく購入されていますね。

土肥: 2011年に、コーヒーを実験的に販売されたそうですね。長野県の軽井沢借宿店と飯山瑞穂豊店の2つ。なぜ長野で始められたのでしょうか。

吉澤: これまでの実験店をみると、東京が多いですね。でも東京でやるとどういったことが起きると思いますか? 「それは東京だからでしょ」という声が出てくるんですよ。

土肥: ん? それはどういうことでしょうか?

吉澤: 「東京は人が多いからでしょ」「東京の人はトレンドに敏感だからでしょ」と。つまり、“やらない理由”が次々に出てくるんですよ。

土肥: 「その商品は、東京だから売れているんでしょ。地方では売れないよ」ということですね。

吉澤: はい。ちなみに、ドイさんはどちら出身ですか?

土肥: 大阪です。

吉澤: 「大阪が一番!」「東京は嫌い」と思っていませんか? (苦笑)。

土肥: 思っていますねえ(笑)。

吉澤: 以前、東京のお店で実験したデータを示したことがあるんですよ。でも大阪の人たちは「なんぼのもんじゃい」といった反応でした。「ローソン、東京に魂を売ったのか」といった感じで。それはそれは、こてんぱんにやられちゃいました(涙)。

質問に戻りますが、なぜ長野で実験を始めたのか。長野は競合が多く、ローソンにとってはいわば“アウェー”の場所で、コーヒーがどこまで売れるのかを知りたかったんです。長野という厳しい場所で成功したら他のエリアの人は言い訳ができませんよね。

土肥: 「アウェーで売れたんだから、あなたのお店でも売れますよね」ということですね。

吉澤: 長野で実験を始めた理由は、もうひとつあります。先ほど、年齢が上がるほどコーヒーを飲む人が増えてくるという話をしましたが、地方は高齢化が進んでいるところが多い。ということは「コーヒーを好む人は、地方にも多いのでは」という仮説を立てました。

土肥: でも、社内で反発はなかったですか? 「やっぱり東京にしようよ」といった声が。

吉澤: ありました。でも私は「長野で成功する」と確信していましたので、スタートしました。

~中略~

土肥: ローソンのマチカフェを担当されている吉澤さんは、もともと本部でマーケティングなどを担当されていました。しかしイロイロなことがあって、中四国の岡山に赴任されました。東京の自宅を売って、不退転の気持ちで「がんばろう」と思っていたのに、1年後に本部から連絡があったそうですね。「東京に戻って、コーヒーを担当してくれないか」って。

吉澤: ローソンでは10年以上前から、コーヒーに何度も何度もチャレンジしてきました。でも、なかなかうまくいきませんでした。

土肥: それはなぜですか?

吉澤: そもそも「どういったコーヒーを出したらいいのか」「どういったビジネスモデルでやればいいのか」といった点が、きちんと決まっていませんでした。だから「コーヒーマシンはどういったモノにすればいいのか」「コーヒーの味はどういったモノにすればいいのか」といったことが決められなかったんですよ。

またプロジェクトも各部署の人が片手間にやっていました。なので本腰を据えてやることができない……そんな状態でした。

土肥: そこで吉澤さんに白羽の矢がたった。「コーヒー事業を立て直してくれないか? 君の力を借りたいんだ」といった感じで迎えられた。

吉澤: とんでもない。東京に戻されて「今日からよろしくお願いします」とあいさつしたものの、自分の机とイスがないんですよ。仕方がないので、他の部署のところで1カ月ほど“間借り”していました。

また予算もありませんでした。どうしたらいいのですか? と聞いたところ「自分で予算を取ってきてください」とのことでした。

土肥: 期待されていないですねえ(苦笑)。で、どうされたのですか?

吉澤: 当時の私はコーヒーの知識がほとんどなかったので、なにをしたらいいのか分かりませんでした。とりあえず、コーヒーを実験的に販売しているお店を回ることにしました。そこでどんな問題が起きているのか。課題を聞きたかったので「とりあえず、交通費だけください」とお願いしました。

そして“問題洗い出しの旅”に出るのですが、そこでビジネスモデルの原点を見つけることができました。「岡山の赤磐吉井店でコーヒーが売れている」という情報を聞いたので、なぜ売れているのかをリサーチしに行きました。そこの店長さんは気さくで、接客が素晴らしいんですよ。例えば、常連のお客さまが駐車場にクルマを停めるところを見ると、コーヒーを注ぎ始めるんですよ。もちろん、まだ注文は受けていません。なぜそんなことができるのか? 両者の間で信頼関係ができているからなんですよね。

コンビニといえば「合理性ばかり追求している」といったイメージがあるかもしれませんが、そこには古き良き昭和の風景がありました。常習性をかもしだす接客と、常習性が強いコーヒーを結びつけることはできないのか。赤磐吉井店をリサーチしてみて、ふとアイデアが浮かんだんですよ。これまでのビジネスモデルではなく、「接客(ホスピタリティ)」を武器にすることはできないのかと。

土肥: うーん、でも「コンビニの店員に、自分の顔を覚えられるのはイヤ。過剰な接客なんていらないよ」という人も多いのでは。

吉澤: もちろんそういう人もいらしゃるでしょう。ただコンビニというのは資金が同じであれば、同じような店舗、同じような商品になっていくでしょう。そうした時代がやって来たとき、どうすれば他社との差別化ができると思いますか? やはり「人」なんですよね。近くに競合店があっても、同じ商品を扱っていても、最終的には「この人から買いたい」となるのではないでしょうか。お客さまにとって、最適な接客とは何か。とことん研究しました。

土肥: コンビニといえばマニュアルによって拡大してきました。その流れに逆行するような形ですね。

吉澤: スターバックスには、基本的にマニュアルがありません。会社の経営理念などを実現するために、お店のスタッフには裁量が与えられているんですよね。「お客さまに喜んでもらえるためにはどうすればいいのか」といったことを考え、いろいろなことを工夫している。そんな仕組みを見て、「コンビニをカフェ風に演出することはできないか」という結論にたどりつきました。

土肥: コーヒーを購入するときの「雰囲気」に着目されたようですが、コンビニの客はそうしたフワッとしたものを求めているのでしょうか。競合他社では、セルフ式で販売していますよね。

吉澤: ローソンでもセルフ式で販売したことがあるんですよ。でも失敗してきました。

土肥: えっ、でも競合他社……あー、もう面倒なので社名を出すと、セブン-イレブンとかファミリーマートなどではセルフ式で展開していますよね。

吉澤: ただローソンでは、失敗してきました。

土肥: それはなぜでしょうか?

吉澤: お客さまからのクレームが多かったんですよ。セルフ式は、お金を先に払って、カップを渡されて、自分でボタンを押して……といった流れ。でも豆が切れていると、コーヒーが出てきません。そのたびに店員は呼ばれて、豆を補充しなければいけません。その間、お客さまは待たされてイライラしてきます。こうしたクレームがものすごく多かったですね。

土肥: それは意外ですね。セルフのほうが苦情は少ないと思っていました。

吉澤: いえいえ。いまと比べて、セルフ式でやっていたときのほうが苦情は多かったですね。

土肥: コーヒーの味はどのようにして決められたのでしょうか?

吉澤: 競合のコンビニ、カフェチェーン、喫茶店などの味をデータ化していきました。濃い、薄い、深い、浅い……などと軸にわけて、「お客さまはどんな味を求めているんだろう?」と分析していきました。例えば、スタバは深め、喫茶店は甘め、といった感じでわけていくと、その中間がなかった。なので「中間の味をつくろう」と決めました。

土肥: その判断に迷いはなかったですか?

吉澤: なかったですね。私たちが目指したのはマクドナルドの味に近いのですが、質は高くしていこうと決めました。

土肥: 次に豆探しが始まるわけですか?

吉澤: たくさんのサンプルを出してもらい、みんなで「コレかな? いやコレじゃない」といった感じで、飲み比べました。そしてここからが重要になるのですが、私たちが選ぶ豆は、競合他社が絶対に調達できないモノにしなければいけません

土肥: 真似されるからですか?

吉澤: はい。良質な豆は、他社もほしがります。なので「この豆でいこう」と決めたときには、農園の人にお願いして、ローソンが全ての豆を押さえました。

土肥: でも、そのときはまだ実験段階ですよね。長野県に2店舗しかないのに、全部の豆を押さえることなんてできるのですか?

吉澤: 確かに、そのときには2店舗しかありませんでした。でも、近い将来は5000店舗以上で販売するので、豆を売ってください……と口説きました。

土肥: 先物買いのようですね(苦笑)。

吉澤: 当時、一緒に豆探しをしていた商社の人にはこのように言われました。「吉澤さんは農園の人に『1年後に1000店舗、2年後には2000店舗に拡大するので、豆を売ってください』と言っていた。将来のことなんて分からないのに、あなたの“熱意”だけはスゴかった。私たちはその“熱意”に賭けてみたい、と思ったんですよね」と。この話を聞いたときは、うれしかったですね。

土肥: 吉澤さんの話を聞いていると、「決断」の連続といった感じですね。

吉澤: 「こっちじゃないか。いや、あっちかもしれない」といった感じで迷ってばかりいると、新規ビジネスはなかなか生まれないでしょうね。

競合他社との違いをつくる、というのは常識ではなく、非常識でないとつくれません。でも私のような非常識な人間が目の前に出てくると、多くの人は拒絶反応を起こします。違いをつくればつくるほど「こんなモノは売れない」「できるわけがない」といった声がでてくるんですよね。

土肥: 吉澤さんが「これでいこう」と決断したのに、反対する人が出てくる。そうしたときにどのようにして説得されたのですか。

吉澤: とにかく結果を出すしかありません。ある上司にこのように言われました。「最初に大風呂敷を広げると、反対勢力の抵抗にあう。いろいろそぎ落とされた挙句、つぶされてしまう」と。なのでコーヒーの実験店は、いきなり100店舗から始めるのではなく、まずは2店舗から始めました。そこで徹底的に成功させる。成功の事実があったので、次のステージに進むことができました。10店舗、20店舗といった形で。

土肥: 事実を見せて、事実で説得していかれたわけですね。

吉澤: 私は会社のトップではなく、やんちゃなおっさん。個人のキャラに依存しても前には進めないので、“成功を積み上げていく”ことだけを考えてやってきました。

土肥: 「やんちゃなおっさん」……いいですねえ(笑)。やんちゃなおっさんには、やんちゃなおっさんなりのやり方がある。これからもたくさんの成功を積み上げて、私たち消費者を楽しませてください。本日はありがとうございました。

Business Media 誠『ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト』
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1311/12/news013.html

Business Media 誠『なぜコーヒーを“手渡す”のか? ローソンがセルフ式を捨てた理由』
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1311/20/news013.html

―― 引用ここまで ―――――――――

では、もういちど設問を掲載します。

Q1.ローソンは10年以上前から、コーヒー事業に何度もチャレンジするも、うまくいきませんでした。
その戦略的理由と、プロモーション上の理由はなんでしょうか?

Q2.マチカフェで追及したコーヒーの味を、競合に真似されないために行った対策はなんでしょうか?

Q3.差別化するために、競合他社と違うことをする(=業界の常識と反対のことをする)と必ず抵抗に遭います。
その抵抗勢力を抑えるためにマチカフェ開発担当が意識したことは何でしょうか?

きちんと引用記事を読めば、分かるかとは思います。

設問に該当する箇所以外でも、参考になるところは多いかと思います。

個人的に一番グッときたところを選ぶならば・・・

“土肥: 吉澤さんの話を聞いていると、「決断」の連続といった感じですね。

吉澤: 「こっちじゃないか。いや、あっちかもしれない」といった感じで迷ってばかりいると、新規ビジネスはなかなか生まれないでしょうね。“

のくだりです。

さて、答えあわせをしたい方は、ご自身の回答を記載のうえご連絡ください。
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