マーケティングとセールスの違い
今日もご覧になっていただき、ありがとうございます。
マーケティングのことを少し理解した方から、次に出てくる疑問は「マーケティングとセールスはどこが違うのか」です。
マーケティング学習あるあるといっても過言ではないでしょう。
そこで、今日は、そもそもとしてのマーケティングとはなにか、セールスとは何が違うのかということについて考えていきたいと思います。
まずは、マーケティングの賢人、レビット博士の論文から引用したいと思います。
なお、マーケティングの神と評されるフィリップ・コトラーは、レビット博士のことを次のように評しています。
『販売戦略の一分野と見なされていたマーケティングを、経営の中枢へと押し上げた最初の功労者の一人』
(すでに、この言葉に、大きなヒントが隠されています・・・)
さて、では、レビット博士の論文です。長くはありますが、言葉のひとり歩きを予防するべく、前後の文脈も含めて解釈いただければと思います。
(なお、引用文中の強調、下線は引用者が追加したものです)
----- 引用ここから ------------------------------
事業を繁栄へと導くためには、製品中心ではなく顧客中心の発想を心がけなくてはならない。製品やサービスを売るよりも、顧客の心をつかむのが肝要だとの意識を持たなくてはいけない。
こうしたマーケティング重視の姿勢は、いまやすっかり定着しているはずだ。その意味するところは、顧客から好ましい取引先と見なされるように、他社ではなく自社を選んでもらえるように、あらゆる努力を惜しまない、ということである。「何をつくって売ればよいか」と考えるのではなく、「顧客は何をどのような理由で購入するだろうか」と思いをめぐらすべきなのだ。
このような発想に転換すると、企業戦略に深みが出て、組織のすみずみに浸透していく。そして、業務の進め方の決定がすこぶる複雑になる。
実際にそれを経験した企業は、ひとかたならぬ痛みを感じるのが通例である。しかし、ひとたびその痛みを乗り越え、新しい発想になじむと、例外なく成果につながる。輝かしい成果を上げる例も少なくない。マーケティングは魔法のような力を持つのだ。
すでにだれもが知るとおり、マーケティングと販売(セリング)とは異なる。販売はすでにあるものを顧客に勧めることだが、マーケティングは顧客の望むものを望む場所、タイミング、形態、価格で用意することを指す。「役立つに違いない」という思い込みからではなく、買ってくれそうな対象がいてニーズやウォンツがあると考えた時にこそ、製品やサービスはつくっていくべきである。その際には、重箱の隅を突くようにして、細部にまで注意を向ける必要がある。設計やデザインはどうあるべきか。包装はどうか。流通と販売方法、価格、小売店や販売担当者の研修やマネジメント、広告と販売促進活動、製品ラインの計画、成果や競争状況の見極め方・・・。
セオドア・レビット『転換期のマーケティング』
(1977年ハーバード・ビジネス・レビューより)
----- 引用ここまで ------------------------------
いかがでしたでしょうか。
いまいち、ピンとこない方は、動詞に注目ください。
販売は・・・勧めること。
マーケティングは・・・用意すること。
続きます。