値下げをすれば、お客様はハッピーか
値下げをすれば、お客様はハッピーか
無料を含む競合と対抗するために、低めの値段設定をしようとする経営者の方がいらっしゃいます。
結論からいうと、わたしは、この意見には反対です。
毎度のことですが、ここでも“ヒト”が重要です。
強引ですが、わかりやすく3パターンに分けます。
1.価値あれば買う
2.安ければ買う
3.“タダ”ならば買う
1.価値あれば買う
ひとことでいうと、いいお客様です。
本当に来ていただきたいと思う、理想のお客様です。
あなたの商品・サービスの価値を認めています。
(もちろん、よくないものにはNOといいます)
2.安ければ買う
あなたの商品・サービスに一定の価値を認めているものの、値段でみてくるお客様です。
残念ながら、値下げ要求・追加サービス要求・クレーマー化と、あまりいいお客様とはいえません。
3.“タダ”ならば買う
“タダ”だから使ってやる、“タダ”ならもらってやる、という、まず“タダ”ありきの人です。
こういう方たちは“見込み客”ではありません。
“見込み客”の定義は、将来、顧客になる可能性のある人たちのことをいいます。
将来、顧客になる可能性のない方たちです。
あなたも、この方たち相手にビジネスはしていないと思います。
この3者は、同一個人のなかでも、TPOによって変わります。
たとえば、“趣味にはおカネをかけるけど、服にはおカネをかけないヒト”などです。
ですので、金払いがいいひとが、あなたのビジネスにとって“1.価値あれば買う”とは限りません。
また反対に、ある局面では“3.“タダ”ならば買う”ひとが、あなたのビジネスでは“1.価値あれば買う”方になるかもしれません。
もちろん、この3者を、厳密に見分けることは難しいですし、例えば、試食コーナーや無料サンプルで、この種の方たちを排除することはできません。
さて、話をはじめに戻します。
低めの値段設定をして、お客様の数を増やそうとするアクションをとると、次の3つのうち、どのお客様の数が増えるのでしょうか?
1.価値あれば買う
2.安ければ買う
3.“タダ”ならば買う
・・・“2.安ければ買う”ですよね。
この結果、どうなっていくのかシミュレーションしてみましょう。
仮にわかりやすく、値段を半額にしたとしましょう。
この作戦が“狙った通り”に効きました。
“2.安ければ買う”のお客様が増えました。
値段が半分になれば、当然、客単価が下がるわけです。
同じ売上を確保するには、客数を2倍にしなければなりません。
では、利益を得るためには?
たとえば店舗家賃などの固定費は変わらないかもしれませんが、顧客ごとに発生する変動費は、同一売上に対しては2倍になります。
ですので、同一の利益を残すためには、より多くの客数が必要になります。
※ちょっと分かり難かった方のために解説をすると、
利益とは、売上-費用なわけですから、お客様ひとりあたり売上1万円の経費2千円のビジネスだとすると、利益は8千円。
半額にすると、売上5千円の経費2千円のビジネスになり、利益は3千円。
同じ売上を得るためには、客数2倍が必要です。
そして、同じ利益を得るためには2.7倍の客数が必要になります。
さて、それだけの客数が増えた結果、あなたのサービスの質はどうなるでしょうか?
下がることはあっても、上がることはありません。
すると、“1.価値あれば買う”が減って、“2.安ければ買う”がさらに増えます。
忘れてはいけないのが、“2.安ければ買う”の方ほど、さらなる値下げ要求・追加サービス要求・クレーマー化になりやすいです。
こうして、忙しく、文句を言われ、儲からないビジネスになります。
こんなビジネスは、きっとあなたもイヤだと思います。
ならば、客数を増やす方法として、値下げをすることは止めましょう。
続きます。