ベネフィットは“ヒト”次第
ベネフィットは“ヒト”次第
昨日、「ドリル(商品)を買いに来た客に、穴をあけた板(欲しかった価値)を売ったところ、以降、ずっとうちのお店で買い物していただいている」と、ドリルと穴の喩えをしました。
実は、このドリルと穴の喩えは、マーケティングの基本のき、ベネフィットについての古典的格言で、マーケティングやセールスの本でよく出てきます。
オリジナルを引用しておきます。
----- 引用ここから ------------------------------
なぜ人は製品を購入するのか。レオ・マックギブナは、かつてこう言った。
「昨年度、四分の一インチ・ドリルが一〇〇万個売れた。これは、人が四分の一インチ・ドリルを欲したからではなくて、四分の一インチの穴を欲したからである。」
人は製品を買うのではない。
製品のもたらす恩恵(ベネフィット)の期待を買うのである。
人は製品やサービスのためにカネを払うのではなくて、買おうとしているものが自分にもたらすと信じる価値の期待値にカネを払うのである。
四分の一インチの穴を買うのであって、四分の一インチ・ドリルを買うのではない。
セオドア・レビット『マーケティング発想法』
----- 引用ここまで ------------------------------
恐らく、最も重要な箇所は、
“自分にもたらすと信じる価値の期待値にカネを払う”
というところでしょう。
またしても、“ヒト”が先です。
同じ製品・サービスでも、ベネフィットは“ヒト”次第です。
と、その前にベネフィットの基本的な考え方について。
例えば、あなたが“高級な口紅”という製品を扱っていたとして、なんといってセールストークをするでしょうか?
・色落ちしない。
・新色です。
・うるおい成分アップ。
といったことは、製品の特徴なので、ベネフィットではありません。
それが、わたしにとって何がいいの? に答えるのがベネフィットです。
・色落ちしない。 →食べても崩れない。
・新色です。 →フレッシュな気分になれる。
・うるおい成分アップ →唇が荒れない。
といった感じです。
さて、 ベネフィット“ヒト”次第というところに戻ります。
もし、この口紅を買う(実際におカネを払う)のが男性だとしたら、どのようなベネフィットになるでしょうか?
女装趣味はない方です。
ストレートに考えれば、プレゼントされた相手(女性)が喜ぶ、となります。
あなたが、売っているのは“モノ”かもしれませんが、お客様が買っているのは“ベネフィット”です。
そして“ベネフィット”はお客様次第です。
ちょっと前にした“誰に何を売る”のハナシですが、“何”とは製品・サービスと考えがちですが、本質はベネフィットです。
ということは、“誰に”が決まらないと、そもそも“何(つまり、ベネフィット)”を売っているかがわからないわけです。
“ヒト”から始めるメリットをご理解いただけてきたでしょうか?
続きます。